会員制「撮り鉄コミュニティ」はファン分断ではなく「寄り添える形」 JR東日本と”お客様の声”

 JR東日本スタートアップ株式会社が、鉄道ファンに向けた会員制サイト「撮り鉄コミュニティ」を10日に開設した。インターネット上の一部では、一般的にマナーが悪いとされる撮り鉄を”管理下”に置くことで統率を図ろうとしているのではとの声もあがった。同コミュニティを企画したJR東日本スタートアップの山本裕典氏と、JR東日本のイベント担当・飛鳥井啓氏は「全くそんなことはない」と否定し、コミュニティ開設のねらいを語った

 「撮り鉄コミュニティ」は「Mechu」と呼ばれるチャットプラットホームを利用した、会員制ファンコミュニティ。現在は無料で会員登録するプランと、月額1100円(税込み)の有料プランが設けられている。

 有料会員は専用のトークルームに参加し、鉄道イベントやコミュニティに対する要望の投稿や、他の利用者と交流することができる。JR東日本は有料会員限定の企画なども実施を検討している。会員登録者数(無料会員と有料会員の合計)は、15日午後までに294名に上った。

 同コミュニティは、ファンからの要望を集め、ニーズを反映した鉄道イベントを企画することが主な目的。しかし、インターネット上の一部では「撮り鉄を管理下に置いておとなしくさせるのではないか」、「悪質なファンを排除するのではないか」などと推測する意見もあがった。これについてJR東日本の直営ECサイト「JRE MALL」を担当する飛鳥井氏は、現状以上の撮影マナーの周知をコミュニティ内で行う可能性を否定し、会員と非会員を分け隔てる意図もないと説明した。

 「ひとつのアプローチとして、安全を担保しながらより喜んでいただくイベントをたくさん出していきたいという方法の模索だと思っていますので、『Mechu』に入らなかったからといって(疎外される)、ということではないです。ただ、月額(有料会員費)をお支払いいただいているお客さまでもありますので、それに見合った価値はきちんと提供していきたいと思っています」(飛鳥井氏)。

 コミュニティ開設以前から、コロナ禍で”密”を避けて継続できる企画として、参加人数を絞った有料のイベントを「―MALL」で販売してきた。飛鳥井氏は、ファンのニーズを取り入れることで顧客満足度のより高い企画を生み出せると期待し「イベントのクオリティーをさらに上げていく。『これだったらいくら払ってもいい!』みたいな夢のようなイベントを今回の取り組みでたくさん作っていければ」とねらいを語った。

 山本氏も「全くそんなことはない」とファンの”統率”の可能性を否定。「お金を出して、乗ってくれたり商品を好きでいてくれるお客さまなので、われわれも彼らとWin-winな関係を築いて(いきたい)。何かを分断させるとかではなく、お互いがうまく寄り添える形の一つがファンコミュニティと考えています」と話した。

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