白鷗大教授で感染症専門家の岡田晴恵氏が12月12日、世界が新型コロナ禍に襲われた2年間を克明に描いた告白手記『秘闘 私の「コロナ戦争」全記録』を新潮社より刊行する。
「まずいです、大臣、止めてください」「もうもたない。感染者は増える一方で、打つ手なしです」「岡田さん、ADEって何?僕はそんな細かなことはわかんない、知らない」 「これまでの常識が通じないウイルスだ。スキルス(悪性)だよ」「あのウイルス、武漢が本当に起源なのでしょうか?」「ワクチンの専門家の挙動が政治的なんです」「分科会で、内閣官房で、官房長官と総理に意見してください。ウイルス学としてはダメだと」
尾身分科会会長、田村前厚労大臣をはじめ、コロナ対策を指揮した中心人物たちとの生々しいやり取りが描写される。多くの報道番組やワイドショーで解説を行い、メディアと深いつながりを持った“コロナの女王”だからこそ気づけた、この国の矛盾と歪み。一人でも多くの命を救うために戦い続けた700日間の記録が記された。
岡田氏は「この本を書くには勇気がいりました。覚悟も必要でした。ですが、この2年間で私が目の当たりにしてきた真実を、次世代のためにどうしても書いて残したかった。この国の未来のために、一人でも多くの人に読んでほしいと願っています」と談話を寄せた。
2019年のクリスマス・イブ。「武漢で重症な肺炎患者が発生」というメールを受け取った岡田氏は、過去のパンデミック対策の経験から、直感的にこれはマズイことになると判断。以来、メディアで声を上げ、政治家や、尾身ら専門家とも直接意見を交わし、感染拡大阻止のため戦い続けるも、政府の対策はすべて後手後手に回り、東京五輪開催を前に第5波の大波を呼び込んでしまう。手記では、次第に明らかになった「この国の矛盾と歪み」を描き出す。