「号泣議員」や反捕鯨団体など過酷取材を経験した体当たりライターが辿り着いたユニークおにぎりの世界|よろず〜ニュース

「号泣議員」や反捕鯨団体など過酷取材を経験した体当たりライターが辿り着いたユニークおにぎりの世界

橋本 未来 橋本 未来

 Instagramとブログで、実の祖母が作るユニークなおにぎりやおかずを紹介する「おばあめし」というアカウントが人気を集めている。運営するのは、フリーライターの大迫知信さん。日々、過酷な仕事に向き合いながら、自分にしかできないことを模索する中で、「ふいにこの企画に辿り着いた」と「おばあめし」誕生のきっかけを語る。

「怪しい者じゃないです……」と初めて口にした日

 大学在学中に、関西では存在感のある情報誌「Meets Regional」で華々しくライターデビューを飾った大迫さん。このデビュー戦からすでに過酷な日々がスタートしたという。「当時、神戸・三ノ宮に焼き鳥屋さんが増えていた理由を探るという企画でした。どこから手を付けて良いかもわからなかったので、『とにかく、店主さんに聞いてみよう』と、一軒ずつ足を運んで直接聞いてまわる取材を行いました。中には、門前払いというお店もあり、かなり大変でしたね」と笑う、大迫さん。この体当たり取材により、見事、焼き鳥屋が増えた理由を探し当てた経験から、「自分にしかできない取材スタイル」を徐々に確立していく。

  その最たる例が、号泣会見で印象に残るとある県議会議員に関する企画だった。「その県議さんの実家の周辺を取材してほしいという依頼でした。ただ、詳しい住所は不明で、わかっているのは住んでいる街だけだったんです」。途方に暮れながら、とにかくその街に向かったという大迫さん。そして、最寄り駅から出てきた人々に、「○○議員の実家を知りませんか?」と直撃していった。「その時、人生で初めて『怪しい者じゃないです』と口にしました(笑)。今考えても、かなり無茶苦茶な取材方法ですよね」。無謀とも思える取材方法だったが、偶然、居場所を知る人に出会うことに成功。さすがに実家にまで行くのは控えたが、マンションに暮らす人に話を聞き、依頼された記事が完成したという。

 芥川賞作家の助言で「おばあめし」が誕生

 その後、大迫さんは反捕鯨団体をはじめ、吉本興業の大崎洋会長など、一筋縄ではいかない人物や団体を取材してきた。一定の評価を得ながらも、常にフリーライターとして「自分にしかできないことを表現したい」と自問自答していた。そんな時、大学時代から食べ続けている実の祖母が作る料理をブログで紹介する企画をふと思い付く。そのきっかけになったのが、芥川賞作家の津村記久子さんだったとか。「津村さんはぼくが通っていた大学の講師をされていて、その大学の授業にゲストとして呼ばれた日のことです。帰りの電車が偶然同じだったので、思い切って質問をしてみました。自分の状況を伝え、これからどういう方向に進めばいいのかと。すると、津村さんから『おばあちゃんが作るごはんを食べ続けているのは面白い』ということを言われました。ご本人は覚えていないかもしれませんが(笑)それがきっかけで毎日何気なく食べていた祖母の料理が特別なものだと気がついて、この『おばあめし』をスタートさせました」

  2016年に「おばあめし」をスタートさせると、じわじわと話題になり、昼ごはん用に作ってくれるおにぎりをメインにしたInstagramのアカウントも開設。サービス精神のある祖母が様々なおにぎりを作るようになり、常時数千以上のいいねが付き、テレビやWebメディアでも取り上げられるようになった。そして、この「おばあめし」をきっかけに仕事の幅が広がり、書籍のライティングや大学講師の依頼などが相次いだ。大迫さんは言う。「自分にしかできないことを突き詰めた結果、偶然すべてが良い方向に進んでいった印象です。だからこそ、今後もこの「おばあめし」と祖母の「おばあ」を大切にしていきたいですね」と語ってくれた。

大迫知信さんが運営する「おばあめし」のブログ&Instagram https://obaameshi.com

https://www.instagram.com/obaameshi/?hl=ja

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