話題の明智光秀ピクトグラム はじまりは光秀からの「謀反のお知らせはがき」

松田 和城 松田 和城

 京都・福知山市の公式ツイッターで先月27日に投稿されたツイートが話題となっている。同市ゆかりの戦国武将・明智光秀をピクトグラム化。「かわいい」「じわじわくる」など好意的な反応が多く見られる。制作したのは、今年度から市の広報担当に配属された新人の西邑梢さん。はじまりは明智光秀からの「謀反のお知らせはがき」だった。

 西邑さんは就職活動期の昨年春、「謀反のお知らせハガキ」をツイッターで目にし、地元である福知山市の一風変わったPR活動を知った。「誰かのリツイートで回ってきて、その時に『え、地元の福知山市やん!』って思って、そこから結構福知山市の広報活動を見るようになりましたね」と振り返った。

 同ハガキは、昨年に行った福知山市のPR企画「本能寺の変プロジェクト」の一端。“本能寺の変”のパロディで「このハガキは明智光秀勢に属されている全ての武将ににお送りしております」「謀反後、天下を取る場合がございますが、長期政権を保障するものではありません」などユニークな文言が並んでいる。

 ハガキは、同プロジェクトの一つである「本能寺の変 原因説50総選挙」への投票者から抽選で自宅に送られ、結果的に約3万5000票が集まったという。他にも大河ドラマ『麒麟が来る』放送時に行われた「#麒麟よ来い」キャンペーンのような独自企画があった。これに西邑さんは心が惹かれ、入社を目指したという。「実際に職場に入ってからも、今回のピクトグラムみたいに『面白そうじゃん、やろう』と言ってくれる雰囲気を見て『だからああいう企画がたくさんできたのかな』って思っています」と笑顔で話した。

 ピクトグラムは、東京五輪の開会式を見てひらめいた。初挑戦だったピクトグラム制作には約3時間かかり「大変だった」と振り返る。一方で「早くみなさんに披露したいという気持ちが強かった」と夢中で取り組んだことも明かした。明智光秀をモデルにした理由を「本能寺の変を起こした“悪い人“っていうイメージがどうしても多いと思うんです。“良君“”狙撃の名手“とかの知られざる魅力をピクトグラムをきっかけに知っていただければ」と説明した。

 6つのピクトグラムの中でも「本能寺の変の謎」で明智光秀が、かわいげに首をかしげている姿が印象的だ。変を起こした当人が「謎」と付け足し、まるで他人事のように振る舞っている様子が“かわいい“と好評だった。「本能寺の変 原因説50総選挙」のように「もともと説がたくさん合って、どの説か分からないよね?っていうのを表したかったんです。ツイッターで『かわいく小首かしげてるんじゃないよ!おまえのせいで信長様、天下統一目前で亡くなっているんだからな』というようにツッコまれて面白かったですね」と笑顔を見せた。

 同ツイートは700リツイートを超えた(6日現在)。福知山市の公式ツイッターのフォロワー数は減少傾向だったが、増加に転じた。これほどの反響は想像していなかったといい、「いいね!がいつもよりちょっと多くついたらいいなって感じだったので驚いています。取り上げてもらえたところから広がっていく“連鎖”のようなものを感じることが出来ました」と手応えを見せた。第2弾のピクトグラムを企画しており、SNSと市役所職員からアイデアを募集中。同市では大江山の酒呑童子が有名で、鬼のピクトグラムも候補の一つだという。

 そんな福知山市では現在、ファッションサイト「ZOZO」を立ち上げた実業家・前澤友作氏のふるさと納税500万円をもとに、明智光秀が築いた福知山城の活用アイデアを決定する「#福知山城チャレンジ」を実施中。34件の応募から絞られた2つの最終案「明智光秀流 福知山市祝言式」と「スペクタクル新作能『光秀』」の決選投票が、福知山城公式サイトと福知山市内 5 か所で13日まで行われる。西邑さんは今後の目標について「福知山市の魅力を市内の人にも市外の人にも知ってもらいたいんです。主に今はSNSのツイッターを担当しているのでそこで新しい企画を立てて、いろんな魅力を発信できたらと思っています。今進行している企画のようにいろんなチャレンジをしている人のお手伝いができればと考えています」と言葉に力を込めた。

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