還暦のゴージャス松野が58歳の新人レスラーとアラカンタッグ結成 故郷福島と20周年への思いも激白

北村 泰介 北村 泰介
58歳ルーキー・吉田和彦(左)とリング上で握手を交わし、マイクアピールする還暦のゴージャス松野=東京ニューピアホール
58歳ルーキー・吉田和彦(左)とリング上で握手を交わし、マイクアピールする還暦のゴージャス松野=東京ニューピアホール

 60歳と58歳の「アラカン(アラウンド還暦)」プロレスラーがリングで一騎打ちした。選手寿命の長いプロレス界では珍しくないことだが、今年4月に還暦を迎えたゴージャス松野と、昨秋デビューした印刷会社社長・吉田和彦による第2試合でのシングルマッチ。東京五輪開会式の翌日となる24日、都内で3周年興行を開催した「ベストボディ・ジャパンプロレスリング(BBJ)」ならではのマッチメークだった。高齢化社会の中、ジャンルを超えて戦うシニア世代というテーマを体現する両者を激闘後のリングサイドで直撃し、思いを聞いた。

 松野は大手芸能プロのマネジャーを経て、ワイドショーで連日報じられた出来事で時の人となった後、ホストやタレント活動も行い、2002年10月のIWAジャパン、東京・国立代々木競技場第二体育館大会でタイガー・ジェット・シンらと組んで41歳でデビュー。来年でプロレス生活20周年を変える。

 吉田は同人誌専門印刷所として知られる会社の代表取締役。健康美や肉体美を競うBBJ主催「ベストボディ・ジャパンコンテスト」のゴールドクラス(50歳〜59歳)において13、15、17年の全日本大会で優勝し、プロレス団体として18年に旗揚げする際、夢だったリングへのオファーを受けて快諾。特訓を積んで昨年11月に57歳でデビューした。1963年生まれ。日本マット界では蝶野正洋や川田利明らと同い年のルーキーだ。

 試合では、クリーンファイトに徹する吉田に対し、ヒールの松野は場外での鉄柱攻撃、はがしたバンテージで首を絞めるなどの反則を繰り出した。さらに、トップロープとセカンドロープをつかみ、その間で体を勢いよく回転させて相手を攻撃する技「619(シックスワンナイン)」にも挑戦。WWEでおなじみのレイ・ミステリオ・ジュニアの得意技をスローモーションでぎこちなく再現するなど、微妙な間(ま)と共に懸命さが伝わってきた。

 対する吉田はフライング・クロスチョップなどで応戦も、松野はパイプイス攻撃でダウンを奪うと、吉田の体に置いたイスへのトドメのエルボー弾で自爆してもん絶するなど、場内を沸かせた。最後は松野が押さえ込んで勝利すると、マイクを手に「みんな、生きていくの必死なんですよ、人生。プロレスも一緒なんですよ。分かりますか?知性と品格、とても大事だと思いますけど、それだけでは人生もプロレスもやっていけません」と説いた。

 その上で、松野は「俺たちはアラカン。一緒にベストボディの頂点を目指しませんか?これからはタイガーマスクのようにみんなに夢と希望を与えるプロレスを吉田さんと一緒にやっていきます」とタッグ結成を求め、吉田も笑顔で握手を交わした。

 試合後、松野はよろず~ニュースの取材に対して「このコスチュームはⅠWAジャパンでのデビュー戦のものです」と原点回帰の覚悟を明かした。今年、故郷の福島で予定された自身の還暦記念興行はコロナ禍で延期となり、開催日は未定のままだ。「押えていた会場がワクチンの接種会場になりまして。焦らず、様子を見て、満を持して、ちょうど来年がデビュー20周年なんで、皆さんが楽しく会場に来られるようになってから」と仕切り直しを誓う。

 吉田は「小学生の頃、馬場さん、猪木さんをテレビで見ていた世代なので、リングに立ててうれしい。今後もやっていきたい」と現役続行の構え。松野は「吉田さんも大変だと思いますけど、デビューした以上はプロなんで、長く続けて欲しいし、プロとしてのスキルも身に付けて欲しい。そういう意味で、オジさん同士で手を組んで若い人の見本になるようにやっていければ」とエールを送る。

 さらに、松野は「デビュー当初、話題作りとか言われて厳しかったが、長くやれば認めてもらえる。プロとしての自覚が非常に大事で、趣味の延長では続かない。今も週2日のトレーニングは続けています。体はウソをつかない。年をとっても真剣にプロレスと向き合っていると分かってもらえるし、それができなくなったらリングを下りるしかない」とも語った。

 コロナ禍前の一昨年は年間50―60試合をこなしたが、昨年から月2試合ペースの松野。「その分、集中して体を作れる。上に芽を伸ばせない時は、下に根を伸ばし、開花の時期に向けて蓄える時期だと思っています。世の中が変わった時に乗り遅れないように、日々鍛錬。咲かせるときに咲かせないと」。相棒となった吉田と共に、もう一花咲かせるつもりだ。

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