ビジュアル系バンドは怖くない ヘドバンのコツは「髪の柱を立てるイメージ」初心者ファン向けエリアも

 「怖そう」「敷居が高そう」と、近寄りがたいイメージを持つ人も少なくないビジュアル系(V系)バンド界。ビジュアル系のバンドマンやバンギャ(ファン)の行動を再現した「V系あるある動画」を投稿している、5人組バンド「0.1gの誤算」のボーカル・緑川裕宇(33)がヘドバン(ヘッドバンギング)のコツや、実は〝怖くない〟バンギャたちの助け合いエピソードを語った。

 「ビジュアル系のシーンがどんどん衰退している」という時代でより多くの人に知ってもらうため、動画の投稿を昨年から始めた。「本命から取ったステージドリンクの使い道」の動画はTikTokで170万回再生超の大ヒット。ステージ上のバンドマンが投げたドリンクボトルをゲットしたバンギャが、メンバーの飲みかけの水を料理に混ぜ込む姿や、加湿器に入れて「家中に本命をばらまく」姿を緑川が再現した(「本命」とは一番好きなメンバーのこと)。このエピソードは匿名SNSで募集した話や、緑川自身が聞いたうわさを元にしているという。

 同じくTikTokで150万回以上再生されたヘドバンの動画では、約5年前のイベントに集まったおよそ150人の観客が、メトロノームの拍子に合わせて頭を前後左右に振り続ける姿が映っている。このイベントは「(ヘドバンの)リズム感良くしようぜ」と企画されたもの。一見難しそうに思われる動きだが、慣れると「ヘドバン筋」が鍛えられ、余分な力が抜けるようになるという。コツは「髪の柱を立てるイメージ」を持つこと。緑川は「きれいにヘドバンすると後ろから見て(髪が)きれいに逆立っている」と説明した。自身もビジュアル系バンドに興味を持ち始めた高校生の頃は、家でヘドバンの練習をしていたという。

 ビジュアル系のライブでは「『好き』を伝える方法が体を動かすこと」と緑川は語る。「(演者が)『暴れろ!』と言っているのにポカンとしていると、こっちからしたら『好きじゃないの?』と思ってしまう」。特に振り付けが難しいといわれる「0.1gの誤算」のライブでは、ヘドバンができない人や曲を知らない初心者向けのエリアを設け、ファンのノリに慣れてもらう機会を作っている。

 緑川いわく「ネジが外れてる」というバンギャの中には、「ド前(どまえ)」と呼ばれる、推しメンバー正面の立ち位置にこだわり「30センチずれただけでも嫌」と考えるほど熱心な人もいる。曲に合わせた複雑な振り付けを踊り、一糸乱れぬヘドバンをする姿に、バンギャ以外の人からは「ファンが怖そう」と思われることもあるというが「実際に来ると『全然そんなことなかった』とみんな言ってくれる」。ライブ中に暑さで倒れた人がいた時には、周囲の観客が協力して救助したこともあると話し「助け合いもできているので」とファンのマナーの悪さを否定した。

 ビジュアル系の魅力は「恥ずかしくて出せない『中二病』みたいな感情を恥ずかしげもなく出せる」こと。日常生活ではできない激しい動きを、ライブの空間では思い切りできる「非日常」の感覚があるという。「1回来たらやみつきになると思うので。それは保証します」と新規のファンを歓迎していた。

【写真10枚】そろった動きで緑川に操られる観客

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