「どこの組事務所…?撮影して大丈夫!?」と不安になるが、ここは名古屋市中川区にオープンした「任侠カフェ」というコンセプトカフェ。
壁には"任侠道"の書、テーブルにはガラスの灰皿(禁煙)、若い衆(スタッフ)が丁寧に組員(お客様)を接客し、プロパティシエが作る美味しいケーキが味わえる、喫茶店激戦区名古屋でも異色のカフェである。
プロデューサーはバーチャルYoutuberの懲役太郎さん。反社会勢力の実情などの動画が人気で、チャンネル登録者数は30万人以上。今回は懲役太郎チャンネルを運営する俺太郎さんさんにお話を聞いてみた。
―お店の内装について、参考にされた漫画・映画などはありますか?
俺太郎:"龍が如く"というゲームです。ただ他の映画や漫画も参考にしていますので、組事務所のキメラという感じです。
―どうして"任侠"と"カフェ"を合体させようと思ったんですか?
俺太郎:会議中に、他愛もない冗談の1つとして出た案なのですが、面白いと思い実現させました。
―お客様の反応はいかがですか?
俺太郎:写真を撮ったりして楽しむお客様が多いです。即興劇で我々スタッフを若い衆として極道者のふりをするお客様も中には居まして、基本的には体験として楽しんでくださる方が多く、幸せそうな感情がダイレクトに伝わるのでこちらも見ていて幸せになります。
―任侠の世界に引き込まれるきっかけは何だったんですか?
俺太郎:純粋に知らない世界で、知的好奇心が満たされるというような感じで興味を持ちました。文化や伝統、変わった風習。組織ごとの違いなど、興味深いところが多いです。1番の魅力は組織の特異性にあると思います。海外のマフィアなどとも違いますし、日本にしかない組織形態って感じで、個人的には侍と同じような魅力があると考えています。
―受刑者の更生支援や社会復帰にも貢献されているんですね。
俺太郎:NPO法人マザーハウスという前科者を支援している団体と協力していて、メニューにある「マザーハウスのマザーコーヒー」をご注文いただくと売り上げが寄付される仕組みになっています。日本では、前科者の社会復帰は非常に難しい環境なんです。携帯電話が契約できない、住所が無い、定職につけない。だから犯罪を重ねてしまう。という負のスパイラルが問題だと思っています。再犯率を下げる為にも、何か協力できないかと考えています。
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入所受刑者に占める再入者の割合は令和元年データによると58.3%ともいわれている。社会復帰の壁がドミノのように何層にも連なっているのだ。逮捕されると携帯電話を解約する間も無く、料金未納のまま数年経過すると出所後契約ができなくなってしまう。引っ越しにも初期費用がかかり、保証人も見つけられない出所者は住居を持つことが困難だ。住所もなければ就労も難しく、更に社会からの孤立により昔の仲間に連絡、結果再犯に走ってしまう。このループを断てるなら、日本の犯罪はきっと減少するだろう。スイーツとドリンクのセットで"893円"…美味しいコーヒーを飲んで組員の気分も味わい、更に出所者の支援ができる「任侠カフェ」。新しい名古屋の観光名所になる予感だ。
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