「記憶の中のレトロゲームを、上書きするようなインパクトを与えたい」
レトロゲームをテーマとしたアート作品群が、SNS上で大きな注目を集めている。
ゲーム機をモルタル化して植物を育てたり、コントローラーを一輪挿しにするなど、懐かしさと遊び心が詰まったその斬新な世界観に国内外問わずSNSユーザー達からは、
「これは可愛過ぎです! 是非、量産して欲しい!」
「自然と人工の融合アートですね!」
「人類が滅んだ後、自然分解されないGBに草木が生い茂り……的に見えました」
など数々の絶賛のコメントが寄せられている。
これらを制作したレトロゲームアーティストのGamikichidoさん(@gamikichido)
にお話を聞いた。
筆者:レトロゲームアーティストのご活動を始められたきっかけについてお聞かせください。
Gamikichido:私は少年時代からテレビゲームに触れ、ファミコンにやゲームボーイにはじまり色々なゲーム機を遊んで育ちました。ジャンクショップ巡りが好きで、壊れたゲーム機を直すのも好きでしたね。
子供の頃の「あのゲーム機で遊んでみたい」という欲求、お小遣いやお年玉を貯めてようやく憧れのゲーム機を手に入れた喜び、家族や友達と遊んだ楽しい記憶は今でも印象に残っています。
そんなゲーム機が今や数百円で手に入るし、壊れていたりもする。だからつい買ってしまうし、直したくなる。世間ではゲームボーイのカスタム化が隠れたブームになっていますが、私もレストアや改造を楽しんでいました。
そんな中、コロナ禍の外出自粛期間中に、「レトロゲームが持つ美しさ」と「憧れや楽しさの記憶」に向き合う時間が生まれて、新たな価値を作り出したくなりました。
世界中の日常が失われていく中、レトロゲームをテーマとしたアートで見る人を楽しませたい。そう思ったのがレトロゲームアーティストとして活動を始めたきっかけです。
筆者:作品を拝見していると子供の頃を思い出してあたたかい気持ちになりますね。
Gamikichidoさんにとってレトロゲームとレトロゲームアートの魅力とはなんですか?
Gamikichido:レトロゲームはもちろん好きですが、それ以上に物質としてのレトロゲーム機やカセットが好きです。例えばファミコンのカセットにはいろんな色、形があって面白いし、分解するとカセットによって基盤の形が違っていたりします。
PCエンジンはソフトはカード型でカッコいいし、ディスクシステムはフロッピーディスクでもない独自の形状。
コントローラーも多様で、特定ゲームのみで使えるコントローラーなんかも特別感があります。「レトロゲーム」という素材から、特徴や特性を生かし、視点を変え、新しい価値を作り出すこと、それがレトロゲームアートだと思っています。
筆者:どれも遊び心が満載で、今見ても心躍るデザインですよね。SNS上ではモルタルGBシリーズの人気が目覚しいですが、こちらの作品についてもお話をお聞かせください。
Gamikichido:モルタルGBシリーズはレトロゲーム機自体の形を変えて、それをモルタル化したインテリアです。小物入れにしても良いし、そのまま飾るのも良い。植物とも相性が良いと思います。
素材探しや製作方法の模索、そして試行錯誤。試作から作品として投稿するまで、半年以上かかりました。今でも1つ製作するのに一週間くらいかけています。
モルタルという素材を選んだのは、製作物を屋外でも飾れるようにしたかったからです。庭に飾るだけでもワクワクしますし、自然に任せた作品の変化も期待できます。風化していく様子、土に埋もれていく様子、雑草や苔が生えてきたり…と想像するだけでも心が躍ります!
筆者:無機物と有機物のバランスが絶妙で、ついつい眺めたくなる独特の魅力がありますよね。国内外のファンの皆様から多くのコメントが寄せられていますが、反響へのご感想をお聞かせください。
Gamikichido:1年間の活動で「レトロゲーム」というジャンルは国外にも通じるカルチャーであることを強く感じました。海外の方からいろんな言語でコメントやメールを頂くこともあり、Google翻訳を活用しながら交流をさせて頂いています(笑)。
フォロワーさんの年齢層は25~44歳の方が多く、同じ思い出を共有している仲間という認識です。これからも多くの仲間を楽しませたいです。
今は新型コロナウイルスの影響もあり、各種イベントにも参加できない状態ですが、今後要望や機会があればぜひ他の方とコラボもさせて頂きたいと思っています。
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Gamikichidoさん関連情報
茨城県水戸市を拠点に活動中
Instagramアカウント https://www.instagram.com/gamikichido/
公式サイト https://gamikikaku.com/gamikichido/
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「これから大型作品の製作にもチャレンジする予定です。きっと楽しんでもらえると思いますので、ぜひフォローをお願いします」とGamikichidoさん。みなさんもノスタルジックなレトロゲームアートに触れて、「憧れと楽しさの記憶」を思い出してみてはいかがだろうか。