人気があるから起用する、ファンが多いタレントをとりあえずブッキングする-という方法は、テレビ東京ではNGなのだ。「当然、出演者の方の力をお借りして、番組は成立していくもんだとは重々思っているんですけど、根幹には企画が面白いというのがないと長続きしない」と大庭竹部長。だからこそ、低予算でも徐々に人気が火がつき、“伝説”になる番組が生まれるのだろう。
他局とまったく違う番組編成は当然、リスクを伴う。だが大庭竹部長は「リスクはあまり取りたくはないんですけど、ある程度リスクテイクをしないと、大当たりは出ないなと思いますね」と意に介さず。「例えば『池の水』は、みんな反対してました。あれでヒット番組が生まれるなんて、誰も思わないでしょうから。リスクといえば、リスクなんですけどね」と笑った。
加えて「ここからは私見なんですが」と前置きしつつ、「失敗が目立たない会社ではあるんですよね。他局さんで視聴率が悪いと、週刊誌とかネットとかで『大失敗』とか叩かれる。うちはそれがあまり出ないんで、そういう意味で言うと失敗が目立たないのでチャレンジはしやすいというところはある」と、自虐も交えながら説明した。とはいえ、その戦略は単なる弱者のメソッドではない。ある意味、メディアとしての“あるべき姿”を突き詰めたものだった。