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「入浴介護」に必要なエプロンの課題とは?施設でボランティア体験し改良に成功 メーカー担当者に聞く

北村 泰介 北村 泰介
頭からかぶって着るタイプの「入浴介護エプロン」の新商品。耐久性や軽量化の面で改良されたという
頭からかぶって着るタイプの「入浴介護エプロン」の新商品。耐久性や軽量化の面で改良されたという

 介護を必要とする人が浴室で体を洗い、清潔を保つことで心身をリフレッシュする。要介護者の日常生活において不可欠な習慣だが、この「入浴介護」という作業において、サポートする側には「専用エプロン」が必要となる。時には不具合を感じることもあるが、そうした課題を克服するため、メーカーのスタッフはボランティアとして現場で入浴介護の実態を学んでいる。その結果、開発された「入浴介護エプロン」の新商品を12月に発売した「フットマーク」(本社・東京)の担当者に話を聞いた。

 入浴介護エプロンは複数のメーカーによってさまざまな形態の商品が販売されている。頭からかぶって着るタイプでは、肩から足元までを覆うロングタイプ、肩から膝くらいまでのショートタイプがあり、腰ひもや簡単装着できるマジックテープなどで固定させる。また、キッチンで使う一般的なエプロンのように、ひもで結んだ腰から足元までのハーフタイプもある。ただ、従来の商品には「耐久性」と「心身への負担」という2点の課題もみられたという。

 「耐久性」の不安は、コロナ禍によって入浴介護エプロンを塩素消毒する施設が増えたことによる。同社の担当者は「元々、入浴介護エプロンで使用しているラミネート加工は塩素との相性が悪く、塩素消毒によって劣化が進みやすいという課題がありました」と説明。さらに「従来品と(今回開発した)本製品はともにポリウレタンラミネート加工ですが、本製品はその中で耐加水分解性・耐カビ性に優れたポリカーボネート系を使用しているため、従来品より耐久性がアップしています」と改良点を明かした。

 開発の相乗効果として従来品に比べて35%の軽量化にもつながった。担当者は「重さによる肩への負担やストレスを軽減しました。着用は頭と腕を通すだけ。従来あった腰ひもをなくし、肩のスナップボタンによって着脱衣が簡単になったことで、時短にもなり、入浴介助後も濡れずに素早く脱ぐことができます。丈を長めに設計しているため、しゃがんでも膝までカバーし、動作中の水はねや衣服の濡れを防ぎ、介助中も安心です」と効果点を挙げた。

 いずれもスタッフが現場に足を運び、実際の声を拾い上げたことが奏功した。今年4月から9月の間、3人のスタッフが週1回、2施設でボランティアを実施。現在でも月に1回は活動を続けている。場所は地元の東京・墨田区内の特別養護老人ホームとデイサービスが行われている施設などだった。

 「長持ちする入浴介護エプロン」の開発について、担当者は「これまでもお客様の声をもとに商品づくりを行ってきましたが、企画段階では想像に頼る部分もありました。実際に現場で体験することで、利用者さんやスタッフさんの日常や動きを具体的に知ることができ、『この視点が必要だったのか』と気づくことが多くありました。その結果、より利用者目線で考えることの大切さを、あらためて実感しました」と手応えを示した。

 今後も「現場のリアルな課題」に向き合い、使用者のための製品開発を進めていくという。

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