akiya_b

学習塾の倒産 過去最多ペース 9月までに37件 都市部で顕著 少子化背景に激しい競争

受験

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
※画像はイメージです(Paylessimages/stock.adobe.com)
※画像はイメージです(Paylessimages/stock.adobe.com)

 学習塾の倒産が、過去最多ペースで増加している。2025年1-9月に発生した学習塾経営事業者の倒産は37件(負債1000万円以上、法的整理)で、同期間として過去最多となった。このままのペースで推移すれば、通年では50件前後で、過去最多だった昨年の40件を大幅に更新する可能性が高い。少子化を背景に、激しい競争を強いられる東京都など都市部の中小業者の倒産増加が顕著になっている。

 株式会社帝国データバンクが、2000年1月1日~2025年9月30日までの負債1000万円以上、法的整理による「学習塾」の倒産動向について調査・分析を実施、結果を公表した。

 調査によると、倒産した37件を負債規模別にみると、1億円未満の小規模倒産が35件と大半を占めた。負債額が1億円を超えたのは、予備校のフランチャイズ事業を展開していた(株)CS管理会社(旧商号:(株)松尾学院、3月特別清算、兵庫県。2024年設立の(株)松尾学院に事業譲渡)の約7億円。大学受験予備校「ニチガク」を運営していたが、受験シーズン直前に教室を閉鎖した(株)日本学力振興会(1月破産、東京都)の約1億7100万円の計2件だった。

 倒産件数は都市部で急増。「東京都」が10件で最も多く、7件の「大阪府」が続く。都市部の中小事業者の倒産が増加している背景には、少子化に伴う他社との競争激化、さらに、コロナ禍以降に定着したオンライン授業に特化した事業者や学習用のスマートフォンアプリの台頭があるという。

 業界団体の役員は「業歴の長い学習塾も、生徒の獲得のためにオンライン授業などのデジタル設備の投資に力を入れる必要性が生じているが、その結果として借入金が膨らむケースもある」と指摘する。

 学習塾の倒産は、少子化による生徒数の減少と他社との競争もあって2010年代は概ね増加傾向だったが、コロナ禍では支援策もあって一時的に減少に転じた。しかし、少子化は一層加速し、主な学習塾の利用層である6歳から18歳の人口は、コロナ禍直前の2019年(約1405万人)から2024年(約1336万人)までの5年間で約5%減少(総務省「人口推計」)。都市圏を中心に生徒の争奪戦はさらに厳しさを増していくと考えられ、加えて人手不足の深刻化により講師の確保も課題だという。

 地方の事業者は、地域に根差した基盤を背景に身の丈経営で業容を維持する道もあるが、大手がひしめく大都市圏では、資本体力が乏しく収益の確保が難しい事業者を中心に、今後も倒産は増え続けそうだ。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース