過酷な中学受験を乗り越え、憧れの中高一貫校へ入学。しかし、しばらくすると成績が下位に低迷し、そこから抜け出せなくなってしまうお子さんがいます。教育業界では、この状態を「深海魚」と呼ぶことがあります。
「あんなに頑張って合格したのに、どうして…」「このままでは大学受験が危ない」と、親御さんは焦りや不安でいっぱいになることでしょう。
こんにちは。おうち受験コーチングの鈴木詩織です。
中高一貫校での成績低迷は、決してお子さんの「怠慢」だけが原因ではありません。今回は、「深海魚」になってしまう原因と、そこから自力で浮上するためにご家庭でできる3つのステップをお伝えします。
◆なぜ「深海魚」になってしまうのか?(沈む3つの原因)
成績が低迷してしまう背景には、主に次の3つの原因が隠れています。
・燃え尽き症候群:「中学合格」が最大のゴールになってしまい、入学後に学習のモチベーションを見失っている状態です。
・授業のハイスピード化:中高一貫校は公立中とは比較にならないほど進度が早く、難易度も高いため、一度つまずくと雪だるま式に遅れが広がってしまいます。
・「自学自習」の習慣がない:小学生時代に「塾の先生や親に管理されて勉強する」スタイルだった子が、自由度の高い環境に入った途端、自己管理ができずに崩れてしまうパターンです。
◆さらに深く沈ませてしまう「親のNG行動」
成績が下がったとき、親御さんが焦ってやってしまいがちなのが「新しい塾に放り込むこと」です。
学校の授業スピードについていけず消化不良を起こしているのに、さらに塾の課題を増やすと、お子さんは完全にキャパオーバーになり、思考停止してしまいます。
また、「なぜできないの?」と感情的に責めたり、親が横について無理やり教え込もうとしたりするのも、反発を生み親子関係を悪化させる逆効果になります。
◆自力で浮上するための3つのステップ
「深海魚」から抜け出すためには、外側から無理に引き上げるのではなく、お子さん自身の「自走力」を育てる必要があります。
ステップ① 焦らず「現在地」を把握する(自己理解)
まずは親御さんが焦りを捨て、成績が下がっている現状を責めずに受け入れます。その上で、お子さんの性格タイプを見極めることが大切です。「失敗が怖くて(完璧主義で)手が止まっている」のか、「マイペースすぎて期限の感覚が薄い」のかによって、響く声かけは全く異なります。
ステップ② 勇気を持って「つまずいた所」まで戻る
今のハイスピードな授業に無理に追いつこうとするのはやめましょう。中1の1学期、あるいは小学生の基礎まで思い切って戻る勇気が必要です。あれこれと新しい参考書を買うのではなく、「学校の教材を1冊完璧にする」ことが一番の近道になります。
ステップ③ 親は「ティーチャー」ではなく「コーチ」になる
勉強の中身を教えるのは学校の先生に任せましょう。親御さんの役割は「コーチ」です。「今週はどこまで進められそう?」「どうすれば計画通りにできそうかな?」と問いかけ、スケジュール管理や、集中できる学習環境の整備をサポートする役に徹してください。
◆まとめ
中高一貫校で一度深く沈んでしまった経験は、決して無駄ではありません。
自分の現在地を知り、自分に合った勉強法を見つけて自力で浮上できた子は、大学受験やその後の人生において、圧倒的な強さ(レジリエンス)を発揮します。
焦らず、お子さんの本来の力を信じて、ご家庭での「コーチング」を始めてみませんか。
<プロフィール> 鈴木詩織 受験コーチング協会代表理事。中学受験・高校受験・大学受験を目指す親子向けの受験コーチングをオンラインで行う「おうち受験コーチング」のサービスを展開。4000家庭以上の親子の受験に向き合う。著書に『おうち受験コーチング』『子どもが自走する言い換えビフォーアフター』共著に『おうちエニアグラム』いずれもみらいパブリッシング。