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映画館で隣席の高齢者が大いびき、同伴家族は注意できずに恐縮…穏便に事態を収拾する対応は?識者が解説

石原 壮一郎 石原 壮一郎
画像はイメージです(master1305/stock.adobe.com)
画像はイメージです(master1305/stock.adobe.com)

 映画館で隣席の高齢者が大きないびきをかいて観賞の妨げになっているが、同伴している家族は注意できずに恐縮して横に座ったままだった。強引に相手を揺り起こすこともためらわれる状況の中、どのような行動に出れば事態を穏便に収拾できるだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を提言した。

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 【今回のピンチ】

 話題作を観に映画館へ。横の席に老夫婦が座ったが、上映中におじいさんが大いびきをかき始めた。自分の隣の席に座っているおばあさんは恐縮して小さくなっている……。

    ◆    ◆    ◆

 とんだ災難です。おばあさんが起こしてくれたらいいのに……とは思いますが、夫に何も言えない関係性なのでしょうか。場所を移動しようにも空席はないし、そもそも予約した席以外だと落ち着いて映画を観られません。

 映画館には「迷惑行為は係員にお知らせください」といった掲示があります。しかし、係員を呼びに行くには映画の鑑賞を中断しなければならないのが困ったところ。しかも、係員が来たときには、すでにいびきが収まっている可能性もあります。

 このままだとイライラが募るばかりで、映画を楽しむどころではありません。さて、どうすればいいのか。

 もし、あなたが何の迷いもなく「おい、ババア。ジジイのいびきをどうにかしろ!」と言えるタイプなら、話は簡単です。おばあさんはあわてて夫を揺り起こして、しばらくは静かな状態になるでしょう。

 しかし、私たちの多くは、そんなふうにシンプルかつ力強い態度には出られません。仮に静かになっても、おばあさんに無理をさせた罪悪感にさいなまれて、どのみち映画を楽しむどころではなくなりそうです。

 ここは、おばあさんと連帯することで、事態打開のきっかけをつかみたいところ。いびきをかくおじいさんをチラッと見て、苦笑いしつつ、おばあさんに「困りましたね」と話しかけましょう。おばあさんが「すみません」と謝ってきたら、「ぼくが起こしてもいいですか」と提案します。

 許可をもらった上で、おばあさん越しに手を伸ばしておじいさんを揺り起こします。それだけだと、目を覚ましたおじいさんに怒られないかと、おばあさんはハラハラしてしまうかも。目を覚ましたおじいさんに向かって、小さく「お静かに」と告げることで、おじいさんに緊張感を持たせつつ、おばあさんの気持ちを楽にしてあげましょう。

 ただ、それはそれでけっこうな勇気が必要です。おばあさんにはおばあさんの事情があるかもしれませんが、やはり妻が夫を揺り起こすのが本来のあり方。ここは、おばあさんに勇気を出してもらいたいところです。

 けっして責める口調ではなく、いびきに困らされている同志というスタンスで、「よかったら、係員を呼んできましょうか」と提案すれば、さすがに「お願いします」とは言われないはず。おばあさんは意を決して、おじいさんを起こそうとするでしょう。

 そこでいびきが止まれば、それでよし。もし、おじいさんがおばあさんに文句を言い始めたら、少しドスを効かせて「お静かにお願いします」ぐらいのことを言って、同志であるおばあさんを助けましょう。それが、おばあさんを暗にけしかけたものとしての責任です。この流れで半端に知らん顔をしてしまったら、せっかくいびきが収まっても、心穏やかに映画の続きを見ることはできません。

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