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高齢者のうつ対策 玄関まわりに植物があるとリスク16%減 千葉大が調査

悠々〜ライフ

よろず~ニュース編集部 よろず~ニュース編集部
画像はイメージ(apple713/stock.adobe.com)
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 花や緑のある暮らしは、心が落ち着く。そんな植物の持つ“癒やし効果”が、実際に高齢者のうつにも有用である可能性が、千葉大による調査で明らかになった。

 同大の予防医学センター研究チームが調査を実施。うつは世界的に重要な公衆衛生課題であり、高齢者のうつは身体的・認知的機能の低下をもたらし、早期死亡リスクを高めることが明らかにされている。これまで住宅内の物理的環境や設備が高齢者のうつと関連することは多くの研究で示されているが、住宅の内外をつなぐ玄関まわりの特徴(前庭やポーチ、植木やプランターなどの存在)が、居住者のうつに及ぼす影響についてはほとんど研究されていなかったという。

 研究チームは、都内の65歳以上で要介護認定を受けていない高齢者2046人(平均年齢約75歳)を対象に、2022年1月と23年10月の2回、自記式質問票で調査を実施。その結果、玄関まわりに植物がある者は、ない者と比べてうつの割合が16%低かった。建物別でみると、集合住宅居住者で植物がある者は、うつの割合が28%低く、その差は統計学的に有意だった。一戸建て住宅居住者で植物がある者は、ない者と比べてうつの割合が15%低く、統計学的に有意と言えないものの、うつとの関連を示す傾向がみられた。

 今回の研究では、うつと玄関まわりの特徴の因果関係まで明らかにできなかったというが、①植物の手入れ中に近隣住民とのあいさつや会話が生まれやすくなり、交流が促進されることで、メンタルヘルスの改善につながった「社会的交流の促進」、②植物の世話を通じて身体活動が日常的に行われることで、うつの予防や緩和に寄与した「身体活動の増進」、③自然とのふれあいを通じてメンタルヘルスの改善に役だった「ストレス軽減」の3つのメカニズムが関与していたと推察している。

 今後は因果関係の解明やプランターか地植えかなどの植栽の質的な側面も含めて検討することが必要であるとともに、高齢者のメンタルヘルスを支える観点からは、玄関まわりに植木や花を置ける十分なスペースの確保が重要で、集合住宅では植物の設置を許容する管理方針やルールの整備も課題になるとしている。

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