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「認知症かな…」と感じても治る可能性も十分!まずは早期受診を

悠々〜ライフ

田中 靖 田中 靖
画像はイメージ(78art/stock.adobe.com)
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 シニア世代になると、物忘れは誰にでも起こることだ。ただ、認知機能が低下したからといって、それが「認知症」とは限らない。症状によっては改善する可能性もある。専門家は「もうアカンわ、なんて思わずに。早めの受診を」と呼びかける。

 5月下旬、兵庫県明石市の明石医師会館で開かれた市民講座「すこやか広場」で、看護実践支援科の中島昌二主任(51)の声が響いた。「じゃーんけーん、ぽん。はい!」。中島主任の掲げたグーに遅れて、詰めかけた高齢者たちのパーが一斉に上がる。〝後出しジャンケン〟大会。何度やっても結果は同じ。シニア世代全勝だ。

 一見簡単な〝後出しジャンケン〟だが、中島主任は「見て、覚えて、考えて、動かすというのは、いろいろな部位を使った『脳のチームワーク』によってできること。皆さんは今、認知機能をしっかり発揮されたということなんです」と解説した。

 そんな『脳のチームワーク』は弱まることがある。理由は主に六つ。「加齢」「病気の影響」「生活習慣の乱れ」「ストレスやうつ状態」「社会的な孤立・刺激不足」「頭のけが」だ。「元気すぎるからといって、夜更かしするのもよくないですね。活動と休息のバランスが乱れると、脳も疲れます」と睡眠の大切さにも念を押す。

 『脳のチームワーク』が弱ると、物忘れなど「認知症」のような症状が現れる。だが、すぐに「認知症」と考えるのは早計だ。中島主任は「一時的に認知機能が低下することはあり得ます。そして、原因をつきとめてアプローチすれば、元のレベルに戻る可能性はあります」と話す。

 治る可能性があるものも、主に六つある。「髄液がたまる」ことで脳が圧迫されて起こる認知機能の低下は、処置すれば改善する。「打撲による出血」は数カ月たってから症状が現れることもあり、注意が必要だ。「甲状腺ホルモンの低下」や「うつ病」「薬の副作用」「感染症」などの影響で現れる場合も対処の方法があるという。肝心なのは「早期発見と適切な治療です。治る可能性もたくさんあるので、どんどん受診してほしい」とすすめる。

 しかし、「認知症」と診断されるのが怖い、あるいは認めたくない思いから、なかなか受診の第一歩を踏み出せない人もいる。家族や周囲のサポートも重要だ。「料理が得意なのに、いつもより〝手抜き〟な感じがする」「キレイ好きなはずが、最近家の中が少し散らかってきた」「問いかけられても、こちらを振り返って発言を待っている」など、ささいな兆候に気づいたとしても、「きつい言い方はもちろん、皆のいるところで言うのも意固地になってしまうかもしれません。老後の『生き方の相談』へ一緒に行きませんか、とやんわり言える場面を作ってあげてください」とアドバイスを送る。

 相談する先も病院だけではない。各地にある地域包括支援センターや認知症疾患医療センターも対応している。アルツハイマー型などの「認知症」を治す特効薬はないが、原因をつきとめれば対処できる認知機能低下もある。「本人抜きで相談だけでも。進行して遅くなると、治療法など本人の希望が分からなくなることもあります」と、あらためて早期発見のメリットを強調する。

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