11月3日投開票の米中間選挙で野党民主党が上下両院で4年ぶりに多数派を奪還し、トランプ大統領率いる与党の共和党が大敗を喫する結果になった。第2次トランプ政権に厳しい審判が下されたことを受け、ジャーナリストの深月ユリア氏が今後の米国政治と日本への影響について、米国の政治学者・評論家で、シンクタンク「アジア・インスティチュート」代表のエマニュエル・パストリッチ氏に見解を聞いた。
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パストリッチ氏は米国出身の政治学者で、2020年には米大統領選への出馬を表明。「沈没してゆくアメリカ号を彼岸から見て」、「USAを盗んだ男――ドナルド・トランプの闇」(論創社)など、トランプ大統領や米国政治をテーマにした著書を出版している。
同氏は筆者の取材に対して「今回の選挙結果は、民主党が支持を回復したことを意味するものではない。民主党はトランプ政権の軍備増強や対イラン政策に十分な抵抗をしてこなかった。それでも、トランプ政権の人種差別的かつ軍国主義的な政策に強い嫌悪感を抱く国民が、野党に投票することで政治的変革を実現しようとした結果なのである」と分析した。
さらに、パストリッチ氏は今回の選挙について「その巨額の選挙費用を負担しているのは、米国でも最も裕福な、ごく一握りの人々なのである」と、史上最も費用のかかった中間選挙だったと指摘する。政治広告費は、調査会社アドインパクト(AdImpact)によると、10月27日までに112億1000万ドルに達した。これは2024年の選挙サイクルの広告費112億ドルを約1000万ドル上回る。中間選挙の広告費が直前の大統領選挙サイクルを超えたのは初めてだという。パストリッチ氏は、こうした政治資金の構造が変わらない限り、民主党に対する国民の幻滅も避けられないとみる。
特に注目すべきは日本への影響だ。同氏は「トランプ政権による理不尽な要求(トランプ関税など)は減少すると思われる。しかし、民主党もまた、トランプ政権が強引に推し進めてきた大規模な軍備増強を支持している。今回の選挙だけで、こうした政策の流れを逆転させることは難しいだろう」と分析した。
また、日本の対米政策についても、パストリッチ氏は「永田町では長い間、民主党より共和党の方が日本にとって望ましいという考え方が一般的であった。特に、高市首相は、米国の政治権力がすべてドナルド・トランプに集中しているかのようなトランプ依存外交を行い、この状況をさらに悪化させてしまった。今後、議会の各委員会で重要な政策決定を担うことになる民主党議員たちと、日本の政治家を結ぶパイプは弱い」と厳しい見方を示す。
日本が取るべき政策について、同氏は「米国政治の混乱が続く中、日本は特定の大統領や政党に依存する外交から脱却し、自国の利益を主体的に守る戦略を構築しなければならない」と訴えた。