家畜に名前や個性を与えることで、子どもたちがその肉を食べるのを躊躇する可能性があることが最新の研究で明らかになった。
ポーランドのSWPS大学の研究チームは、名前や習慣、好物を持つ個別の鶏として紹介された未就学児は、チキンを選択する割合が低くなることを発見。顔の見えない家畜を一匹の「個体」として認識させることで、子どもたちが保護すべき存在として捉えるようになることを示唆している。
研究著者のアレクサンドラ・ラビノヴィッチ氏は「実験の主な発見は、動物の『固有性』が果たす役割に関するものです。固有の名前と真に特徴的な性格を持つ個体として鶏を提示することは、単に名前がついているだけで他の鶏と変わりない場合よりも、食肉の選択を思いとどまらせる効果が高かった」と説明。「名前がその動物を一匹の特別な存在として際立たせるものであれば、子どもにとって保護すべき対象として映るようになります。この固有性の感覚により、子どもたちは同じ種の名もなき他の動物たちにも配慮を広げるようになるのです」と続けた。
研究チームは5歳から6歳の子どもを対象に2つの実験を実施した。ある実験では、穀物が好きで庭を走り回り、日光浴や草をつつくのが好きな「レレク」と名付けられた鶏が紹介された。その後、子どもたちは鶏肉や豚肉のハム、チーズ、トマトなどを模したおもちゃの具材を選び、ままごとでサンドイッチを作るよう促された。すると、名前がついた鶏について学んだ子どもたちは、鶏肉を選ぶ枚数が減り、食べるフリをするのを嫌がる傾向が見られた。
2つ目の実験では、固有の特徴を持つ「チコ」という鶏と、他の多くの鶏と似たり寄ったりな一般的な鶏とを比較した。ここでも同様に、固有の動物として紹介された子どもほど鶏肉を選ぶ割合が低かった。
ただし、この効果は肉を完全に拒絶させるほどのものではなかった。子どもたちは豚肉を選ぶことに対して躊躇することはなく、元々肉が大好きな子どもたちの選択には大きな変化が見られなかった。
研究チームは専門誌「Appetite」で「全体として、動物の識別可能性は子どもの肉消費意欲を減少させ得るものの、その影響は元々の食の好みによって軽減されることが示唆された」と記している。
研究チームは、今回の知見が子どもたちの植物性食品への移行を促し、健康や環境面の双方に利益をもたらす可能性があると結論づけている。一方で、食卓の肉料理に安易に名前や固有のイメージを結びつけることは、子どもの食肉に対する忌避感を呼び起こす要因にもなり得ると示唆している。