Aさんは、県外の大学に進学しひとり暮らしをする娘のために、家賃・光熱費を負担し、食費も毎月の仕送りで支えている。ところがここ数カ月、娘が住むアパートの光熱費が倍近くまで増えた。それに加えて食費の仕送りも、娘からたびたび追加分を頼まれるようになったため、Aさんは不審に思っていた。
そこで、帰省した娘にそれとなく聞いたところ、社会人の彼氏が毎日のように泊まりに来ており事実上の同棲状態だという。娘のために負担したお金で、顔も知らない他人を養っていたという事実に、Aさんはショックと憤りを感じた。
これに対してAさんは、娘の彼氏に生活費の一部を負担するよう伝えたいが、それは干渉しすぎなのだろうか。また、仕送り額や生活費のルールをどのように見直せば良いのだろうか。ファイナンシャルプランナーの川部紀子さんに話を聞いた。
親が意見を伝えるのは当然の権利
ー娘の親として、収入のある彼氏本人に、光熱費・食費など生活費の一部を負担してもらうよう求めるのは、過干渉でしょうか?
Aさんの娘さんは学生であり、かつ、仕送りを受けている以上、まだ経済的には親に依存している状態です。過干渉どころか、親自身のお金の行き先を把握し管理する必要があります。彼氏の生活費まで肩代わりする道理はなく、一部負担を求めるのは筋の通った話といえます。
また、収入のある大人が生活費を出さないまま同棲に近い状態を続けるのは、家計管理の観点だけでなく相手選びの観点からも見過ごせません。お相手を呼び出して思いを伝えてもいいくらいです。
ー実際に生活費の負担を求めるとしたら、どのくらいの割合・どんな伝え方が現実的でしょうか?
その半同棲の意義や必要性に納得し応援すると決めたのであれば、まず根拠になるのは、光熱費や食費が増えた分の差額で、最低でももらうべき金額といえます。
生活費のうち、同棲によって増えた分だけを対象にすれば、相手の納得を得やすくなるかもしれません。親が自ら彼氏に伝えてほしいくらいですが、娘さんを通して伝えるのが現実的でしょう。娘さんに切り出す際は責め立てるのではなく、心配していることや公平にしたいという気持ちを伝えましょう。
ーそもそも親の想定と違う使われ方をされないために、仕送りを渡す際、どんな工夫ができますか?
まず有効なのは、家賃や光熱費のように使い道がはっきりしている費用を、親名義の口座から直接支払う方法です。食費など、渡した後の使い道を細かく把握しにくい生活費だけを仕送りにすれば、減り方の変化から想定外の使われ方にすぐ気づけます。また、仕送りをする際は「何のために渡すお金か」を明確にする意識も欠かせません。
さらに、仕送り金額は一律に固定せず、実際の生活状況に応じて見直す柔軟さが求められます。半年に一度など定期的に使い道を確認する機会を設けておきたいところです。仕送りの見直しは、娘さんを問い詰めるためではなく、家計を一緒に整えるためだと伝えましょう。こうした工夫は、娘さんの将来の幸せにもつながるはずです。
◆川部紀子(かわべ・のりこ) ファイナンシャルプランナー
保険会社勤務8年間を経て、現在は「FP・社労士事務所川部商店」代表として、ファイナンシャルプランナーおよび社労士の業務にあたる。お金に関するキャリアは30年超え。個人レクチャー、講演の受講者は3万人以上。
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