「AI」に提示された情報は「間違いない」と信じる人たちに対して、その情報が「間違っている」と指摘しても頑として認めない…といった事態が生じることもある。そうした“AI信奉者”を相手にどのように対応すべきだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を提言した。
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【今回のピンチ】
部下が作った書類のあちこちに、明らかな間違いがあった。指摘したら「AIが言ったとおりに書いたので、これでいいはずです」と反論してきて、ミスを認めようとしない……。
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新しく入ってきた若手社員は、ふた言目には「AIが、AIが」と口にするタイプ。使いこなせるのが自慢みたいですが、客観的に見て「仕事ができるヤツ」ではありません。コミュニケーション力も、かなり残念です。
今日もその彼が作った書類をチェックしたところ、前提条件がヘンだったり的外れなデータを引用していたりなど、パッと見てすぐにわかる間違いがたくさんありました。
しかし、「これ、おかしいんじゃないの」と指摘したら、「AIが言ったとおりに書いたので、これでいいはずです」とミスを認めようとしません。開いた口がふさがらないとはこのことですが、さて、どうしたものか。
極端な設定ではありますが、これからますますAIが広まっていく中で、こんな部下が現われても不思議ではありません。
そういえばパソコンが普及し始めた頃も、似た光景がありました。総合的に難があるタイプほど、「パソコンが使えること」をプライドの拠りどころにして、根拠のない万能感や優越感をふくらませたものです。
「AIは絶対」「AIこそ正義」と信じているその部下に、「AIなんかアテにならないから、自分の頭で考えて書け」と言っても、こっちを「時代遅れのダメ上司」と見下すのに忙しくて、反省なんかしないでしょう。そもそも「自分の頭で考える」とはどういうことか、きっと理解できません。
そんなにAIを信奉しているなら、AIに懲らしめてもらいましょう。静かな口調で、部下にこう言ってみます。
「なるほどね。じゃあ、そのAI様に、上司から書類に間違いがあると指摘されたらどうすればいいか、聞いてみてくれないか」
AIがどんな答えを出してくるかはわかりませんが、まさか「無視しろ」とは言わないでしょう。「こうしろと言われました」と報告してきたら、さらに畳みかけます。
「そうか。じゃあ次は、AIを手放しで信じて上司の指摘を聞こうとしなかった部下には、どんな問題点があるか、このあとどう行動すべきかを聞いてみてくれ」
こう言われて、AIに聞く前に己の非に気づいて「申し訳ありませんでした」と謝ってくるようなら、まだ救いがあります。「AIを便利に使うのはけっこうだけど、振り回されたら本末転倒だぞ」などと、それっぽい忠告をして話を締めくくりましょう。
なおもAIに聞きにいくようなら、もはや望みはありません。心の中では見捨てながら、AIが提案してきた行動をやらせてみたり、適当なところで「今後に期待しているよ」とか何とか言ってリリースしたりしましょう。
困ったものですが、その手のトホホな部下にどう対処すればいいのか、やがてAIが妙案を授けてくれるかもしれませんね。