40代の会社員Aさんは返礼品をお得に手に入れるために、昨年からふるさと納税を始めた。寄附をしてみると、高級和牛や蟹など返礼品が想像以上に豪華で、職場の同僚にも始めるよう勧めた。すると同僚から「ふるさと納税って寄附した後の手続きが面倒なイメージがあるんだけど、実際どうだった?」と質問が飛んでくる。
寄附をすれば自動的に控除を受けられると誤解していたAさんは、同僚との会話を続けるうちにみるみる青ざめていく。さらに寄付の上限額の試算も誤っており、超過分は税金の控除が受けられないという事実にも気づいた。
ふるさと納税の申告を忘れてしまったAさんは、どのように対応したらいいのだろうか。ファイナンシャルプランナーの川部紀子さんに話を聞いた。
申告を忘れても落ち着いて対応するのが鉄則
―ふるさと納税では寄附すれば自動的に控除が受けられると思っていたのですが、実際は違うのでしょうか?
寄附をしただけでは控除は受けられません。ふるさと納税の税優遇を受けるには「ワンストップ特例」か「確定申告」いずれかの手続きが必須です。
会社員で寄付先が5自治体以内なら、翌年1月10日必着で各自治体にワンストップ特例申請書を送れば手続きは完了します。ただし6自治体以上に寄付した場合や、申請が期限に間に合わなかった場合は、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をする必要があります。
「寄附すれば自動的に控除される」という誤解は意外と多いので、寄付前に必ず手続き方法を確認しておきましょう。
―ふるさと納税の申告を忘れてしまった場合の対処法について教えてください。
ワンストップ特例に間に合わなかった場合の確定申告については先ほどお伝えしたとおりです。
もし確定申告の期限を過ぎてしまった場合でも、寄付をした年の翌年1月1日から5年以内であれば還付申告として控除を申請できます。この手続きに必要なのは寄附金受領証明書のみです。本来の申告期限を過ぎていても、還付申告では加算税や延滞税は発生しません。
5年以内であれば還付申告は十分間に合いますので、慌てずにまず証明書を探すところから始めましょう。
―寄附の上限額を正しく把握するにはどうすれば良いでしょうか?
まず前年の源泉徴収票で支払金額や給与所得控除後の金額を確認し、ポータルサイトのシミュレーターに正確に入力するのが基本です。その際、iDeCoや住宅ローン控除、医療費控除など他の控除も必ず反映させましょう。これらを加味しないと、上限額を実際より高く見積もってしまいがちです。
上限額はその年の1月1日から12月31日までの年収で決まるため、年の途中で転職や賞与額の変動があった場合は注意が必要です。11月頃に年収がほぼ確定してから最終的な寄附額を計算し、余裕を持って低めに見積もっておくと安心です。
◆川部紀子(かわべ・のりこ) ファイナンシャルプランナー
保険会社勤務8年間を経て、現在は「FP・社労士事務所川部商店」代表として、ファイナンシャルプランナーおよび社労士の業務にあたる。お金に関するキャリアは30年超え。個人レクチャー、講演の受講者は3万人以上。
▽FP・社労士事務所川部商店ホームページ
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