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信号待ちなら大丈夫!? 車の運転席で女性がメイク→違反にならないの?【弁護士が解説】

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朝の通勤時間帯、Aさんは車で会社へ向かっている。あるとき信号待ちをしていると、隣の車に乗っていた女性ドライバーが、バックミラーを見ながらリップを塗っていることに気づいた。

Aさんは「信号待ちだからかな」と思っていると、なんと彼女は青信号に変わって車が動き出しても、片手でハンドルを握りながらメイクを続けていた。この光景に心底驚いたAさんだったが、別の日でも同じように化粧をしながら運転する女性ドライバーを見かける。

これを見たAさんは「もし歩行者が飛び出してきたり、前の車が急ブレーキをかけたりしたら、すぐに反応できないのではないか」と不安を抱くのだった。

このように運転中にメイクをする行為は、道路交通法上の問題がないのだろうか。また「走行中」だったら罪になるが「信号待ち」なら罪にならないというようなことはあるのだろうか。アディーレ法律事務所の大垣優希弁護士に話を聞いた。

メイク中の脇見や片手運転、安全運転義務違反となる可能性も

ー運転中にメイクをする行為は、道路交通法上の違反にあたるのでしょうか。

運転中のメイクそのものを直接禁止する規定はありません。そのため、メイクをしたという事実だけで、直ちに道路交通法違反になるわけではありません。しかし、道路交通法70条では、ハンドルやブレーキなどを確実に操作し、かつ、周囲の状況に応じて、他人に危害を及ぼさないように安全に運転する義務が定められています。

メイクのために鏡へ視線を向けて前方から目を離したり、片手運転になったりした結果、事故が発生したような場合には、安全運転義務違反に問われる可能性があります。安全運転義務違反となった場合、普通車では反則金9000円、基礎点数2点が科されます。

ー信号待ちで停車している間にメイクをする場合と、車を走行させながらメイクをする場合では、法律上の扱いに違いはありますか。

運転中の携帯電話等の使用が、車両が完全に停止している間は道路交通法上の規制の対象外とされているのと同様に、信号待ちなどで完全に停止している状態でのメイク自体は、70条(安全運転義務)の規制の対象外だといえます。もっとも、信号待ち中であってもメイクに集中してしまうと、信号の変化や周囲の交通状況への注意が疎かになり、発進の遅れや安全確認不足を招くおそれがあります。場合によっては、歩行者や自転車、他の車両の動きに気付くのが遅れ、接触事故などにつながる危険もあります。そのため、走行中はもちろん、信号待ち中であってもメイクは避け、安全な場所に停車してから行うようにしてください。

ーメイクをしながら運転したことが原因で事故を起こした場合、通常の交通事故と比べて責任が重くなる可能性はありますか。

必ず責任が重くなるとまでは言えませんが、メイクをしていたことが事故の原因と認められた場合には、その状況を踏まえて責任が判断されることになります。そのため、例えばメイクに気を取られて前方への注意が疎かになっていたり、適切なハンドル操作ができなかったりしたことが事故につながった場合には、民事上の損害賠償責任を検討するにあたり、過失割合が通常よりも引き上げられる可能性があります。さらに、悪質なケースでは、罰金刑や拘禁刑といった刑事罰の量刑判断において、より重い処分が下されることも考えられます。

◆大垣優希(おおがき・ゆうき) 弁護士/アディーレ法律事務所
第一東京弁護士会所属。夫婦問題や遺産相続、債務整理など、多様な一般民事分野に関心を持つ。日本化粧品検定1級の資格も保有し、法律分野にとどまらず専門性を深めながら、身近な悩みに根拠をもって寄り添う解説を志す。
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