一軒家に住むAさんは、1年ぐらい前から壁紙の小さなシミが気になっている。雨の日は少しカビの臭いがする気もしていたが、築年数が経っているため仕方ないと思いとくに対策をしていなかった。
そんななか、巨大台風が接近してAさんの家に大雨が降り注ぐ。Aさんは、ふと気になってシミがあった壁紙を見ると、なんとその部分から大量の雨水が漏れ出していたのだ。Aさんは慌てて外に出て直そうとするが、すさまじい突風が吹き込んでくるため修理どころではない。結局Aさんは、恐怖におびえながら台風が過ぎ去るのを待つことしかできなかった。
Aさんの家のように、大雨や台風時に突然雨漏りが起きた場合、どのように対処するべきなのだろうか。また、その場でできる応急処置はあるのだろうか。大阪市住之江区で外壁リフォームなどを手がける株式会社クレバーの代表取締役・中島賢一さんに話を聞いた。
「どのような雨のときに、どこで、どんな症状が出たか」を記録
―Aさんの家のように壁紙のシミや雨の日のカビ臭さがある場合、どういったトラブルの可能性がありますか
壁紙のシミや雨の日のカビ臭さは、建物内に水が侵入し始めているサインの可能性があります。雨漏りは屋根だけが原因とは限らず、外壁のひび割れ、サッシまわりのシーリング劣化、ベランダ防水の傷み、雨樋の詰まりなど、複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。
―台風による雨漏りや被害を防ぐためには、どのような備えが重要ですか
大切なのは、家が発している小さなSOSのサインを見逃さないことです。雨漏りは突然起きるように見えても、実際には以前から劣化や不具合が進んでいるケースがあります。クロスの浮きや剥がれ、壁紙のシミ、サッシまわりの湿りやカビ臭さ、外壁のひび割れ、ベランダやバルコニーの排水不良、雨樋の詰まりなどは注意すべきサインです。
台風が近づいてから屋外で点検や補修を行うのは危険です。雨風が強くなる前、できれば平常時に専門業者へ点検を依頼しておくことが、被害を防ぐ最も現実的な備えです。小さな異変の段階で確認しておけば、大雨で一気に被害が広がる前に対処できる可能性があります。
―もし台風や大雨中に雨漏れが発覚した場合、どのように対応すればいいですか
台風や大雨の最中に、自分で屋根に上ったり、外壁や雨樋を確認しに外へ出たりするのは非常に危険です。また、市販のシーリング材などで雨漏り箇所を自己判断で塞ぐこともおすすめできません。雨水の出口をふさいでしまうと、水が壁の内部へ回り込み、柱や梁の腐食につながるおそれがあります。
まずは、室内でできる「受け止める処置」に徹してください。雨水が落ちる場所にバケツやタオル、ビニールシートを置き、床や家具、家電を濡らさないよう移動させます。照明やコンセント、分電盤付近に水がかかっている場合は感電の危険があるため、触らず安全を優先してください。本来は、雨漏りが起きる前に、クロスのシミやサッシまわりの異変などを見つけた段階で点検を依頼することが重要です。
―実際に雨漏り修理を依頼する際の、ポイントや注意点はありますか
雨漏り修理では、表面だけを塞ぐのではなく、原因を特定したうえで補修することが重要です。雨漏りは屋根、外壁、サッシ、防水層、雨樋など複数の箇所が関係することもあるため、外装や防水、内装まで一貫して確認できる業者に相談すると安心です。また、現地調査時には、いつ・どのような雨で・どこに症状が出たかを伝えると、原因特定がスムーズになります。
また依頼の前には、「どのような雨のときに、どこで、どんな症状が出たか」を記録しておくことも大切です。たとえば、横殴りの雨のときだけ漏れるなら外壁やサッシまわり、短時間の集中豪雨で漏れるなら排水まわり、長時間の雨のあとにじわじわ漏れるなら屋根下地や防水層の劣化が疑われます。症状をメモしておくことで、専門業者が原因を絞り込みやすくなります。
―雨漏り修理を依頼する際、業者選びで確認すべきポイントはありますか
雨漏り修理で重要なのは、表面だけを塞ぐのではなく、原因を正しく特定したうえで補修することです。雨漏りは屋根だけでなく、外壁、サッシ、防水層、雨樋、室内側の下地など、複数の箇所が関係している場合があります。そのため、一部分だけを見る業者ではなく、外装・防水・内装まで一貫して確認できる会社に相談することが大切です。
また、現地調査を行う人、見積もりを作る人、実際に施工する人が分かれすぎると、伝達ロスや判断のズレが起きることがあります。自社職人・自社管理の体制であれば、現場で確認した内容をそのまま施工計画に反映しやすく、原因調査から応急処置、見積もり、施工後の確認までスムーズに進めやすいです。
雨漏りは再発を防ぐことが重要です。金額だけで判断するのではなく、原因を説明してくれるか、必要な工事範囲を明確にしてくれるか、施工後の対応まで相談できるかを事前に確認するとよいでしょう。
◆中島賢一(なかじま・けんいち) 株式会社クレバー代表取締役/建築施工管理技士
「VIVI STYLE カフェと工務店」を運営し、外壁塗装・防水工事・内装工事・店舗施工など、住まいと店舗の総合リノベーションを手掛ける。自社職人による職人チームを組織し、打ち合わせから現場管理、下請け業者を介さない直接施工、アフター対応まで一貫して行う体制を強みとする。建物を長く守る施工管理と、暮らしをより楽しくする空間提案をおこなっている。
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