akiya_b

大河ドラマで注目・豊臣兄弟「94の城」書籍出版 識者解説「秀吉の抜け目なさ」とは?秀長“天空の城”も

北村 泰介 北村 泰介
秀長の但馬平定の象徴である竹田城。“天空の城”の名で親しまれ、独特な形状で異彩を放つ=兵庫県朝来市(撮影◦今泉慎一)
秀長の但馬平定の象徴である竹田城。“天空の城”の名で親しまれ、独特な形状で異彩を放つ=兵庫県朝来市(撮影◦今泉慎一)

 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」で注目される豊臣秀吉と秀長が生涯で関わった94か所の城を紹介した書籍「豊臣兄弟の城 完全ガイド」(風来堂編著、スタンダーズ発行)が発売された。12日放送の第27話では「本能寺の変」が描かれるが、その際に秀吉が取り組んでいた戦が「備中高松城攻め」であり、同書ではその城跡も紹介されている。自分の足で全国の城と城跡を回った編集スタッフに話を聞いた。

 羽柴(当時)秀吉が織田信長の命によって、中国地方を支配していた毛利家との戦いに臨み、弟の秀長は後方支援。その最前線となった「備中高松城の戦い」の最中に「本能寺の変」が起きた。

 秀吉が水攻めで城を包囲し、城主・清水宗治の「首」と引き換えの降伏と開城に向かう中で起きた本能寺(京都市)でのクーデター。秀吉は宗治の最期を見届けると、返す刀で京都に向けて進軍し、信長に反旗をひるがえした明智光秀を討って、天下統一への足掛りをつかむ。そんな歴史の転換期に重なった備中高松城(岡山市)の跡地も写真屋や縄張図(※城の全貌を図面に起こした地図)などと共に紹介されている。JR備中高松駅から徒歩約10分。歴史の中に消えた城が存在した場所には草木が茂り、のどかな風景が広がっている。

 同書では陣城など「戦う城」が多く、敵味方、両方の城が掲載されている。一般に知られていない山城などから、兄弟の中国攻めの拠点となり、世界的に有名な姫路城まで幅広くカバー。今回の大河ドラマで俳優・仲野太賀が演じる主人公・秀長が領主となった但馬(兵庫県)では、“天空の城”と称される竹田城(朝来市)をはじめ、有子山城(豊岡市)、八木城(養父市)などの跡地も紹介されている。

 同書の中心的な著者となる編集プロダクション「風来堂」の代表で、古城探訪家の今泉慎一氏は「建物がなくとも、地形や土・石の遺構は比較的残っているので、それが想像の手がかりです。埋もれてしまった遺構ももちろんありますが、逆に400年以上を経て残る遺構を目の当たりにすると、それだけで奇跡的だと感動を覚えることも。城歩きの疲労を通じても、戦国を体感できます」と、実際に現場に足を運ぶ「実踏」の醍醐味を説明した。

 さらに、同氏は「当時の『距離感』が実感できるのも、実踏の魅力かもしれません。小谷城(滋賀県長浜市)の城内からは、敵方の織田軍の前線基地である虎御前山城(同)が目と鼻の先。その距離の近さは、目の当たりにしてこそよく分かります」と付け加えた。

 かつて存在した城の跡に「生死をかけた人々の念」のようなものを感じることはあるか。今泉氏は「霊感的なものはゼロの人間なので、怨念は感じませんが、城主や城兵に想いを馳せることは多々あります」と振り返り、「例えば、三木城(兵庫県三木市)の『かんかん井戸』。2年も続いた籠城戦で、最後は餓死者が続出した城内の井戸を見ると自然と、城兵のことを想像します。自らの自害と引き換えに開城した、まだ20代前半だった城主・別所長治の決断にも」と補足した。

  大河ドラマに合わせての企画だった。今泉氏は「普段は取り上げられない城を紹介したい…と思い、94城という前代未聞の城数になりました。これは類書でも群を抜く城数で、間違いなく『豊臣兄弟!』関連本でナンバーワンです。これから先に描かれる時代は豊臣兄弟が直接前線に立った戦が多く登場します」とアピールした。

 豊臣兄弟にまつわる城の特徴とは何か。

 今泉氏は「秀吉の城といえば、戦場に築かれた前線基地、陣城〝群〟に要注目です。自身のそれはもちろん、家臣たちの陣城との位置関係からも、秀吉の抜け目なさがよく分かります。三木城攻め、鳥取城攻め、備中高松城水攻めの三大籠城戦が、特に。一方、弟の秀長限定で、城造りの固有の特徴というのは、なかなか難しいのですが、家臣の藤堂高虎は、加藤清正と並ぶ『二大築城名手』です。方形の曲輪、高石垣、枡形虎口が主な特徴。本書掲載の城では、有子山城の改修や、和歌山城の縄張(設計)に関わっています」と解説した。

 最後に、山城歩きで心がけることを聞いた。「縄張図は必携です。(同書には)全ての城に縄張図が掲載されており、実踏のお供にも役立つはず。また、現地に看板などがないところも多いので。ヒルのいる山城に行く場合は、塩を携帯していくと、いざという時に役立ちます。あとはやはり、クマ対策でしょう。私は6000円で買ったクマ鈴を携帯しています。個体差もあるので、響きがよく遠くまで届きそうなものを、購入時に実際に鳴らして選びました」。同氏は実体験からアドバイスした。

よろず〜の求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース