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クリスマス前に「サンタなんかいない」と〝真実〟を突きつけられた小1の息子…「夢」を壊さない対応は?

石原 壮一郎 石原 壮一郎
サンタクロース※画像はイメージです(Ljupco Smokovski/stock.adobe.com)
サンタクロース※画像はイメージです(Ljupco Smokovski/stock.adobe.com)

 クリスマスといえば、プレゼントを運んでくれる「サンタクロース」は子どもたちにとって歓迎される存在だが、いつまで子どもは「サンタさんがいる」と信じているのだろうか。小学生でも高学年くらいまでには〝ファンタジー〟であることを認識するのだろうが、信じていた低学年の子どもが年長者から「真実」を伝えられてショックを受けた時、みじかにいる大人はどう対応すべきだろうか。「大人研究」のパイオニアとして知られるコラムニストの石原壮一郎氏がその対策を提言した。

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 【今回のピンチ】

 クリスマス前に遊びに来た親戚の中学生が、小学1年生の息子に「サンタなんて本当はいないんだぜ」と〝真実〟を暴露した。息子は半泣きで「そうなの?」とつぶやいている……。

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 隣町に住んでいる中学生の甥っ子は、小学1年生の息子が幼い頃から、しょっちゅう家に来て、息子の遊び相手をしてくれました。クリスマスが近いとある日も、息子とゲームで盛り上がっています。

 息子が「今年はサンタさんが〇〇のゲームソフトをプレゼントしてくれるんだよ」とうれしそうに言ったら、あろうことか「サンタなんて本当はいないんだぜ」と〝真実〟を暴露してしまいました。ショックを受けた息子は半泣きになって、こちらに向かって「そうなの?」とつぶやいています。

 いつかはわかってしまうことではありますが、もうしばらくは夢を持っていてもらいたい気がします。さて、どう取り繕うか。

 中学生の甥っ子は、そういう破天荒なことをしてみたいお年頃なのでしょう。気持ちはわかりますが、けっこう迷惑です。

 かといって「困るなあ、○○君。それは言わない約束だろ」と注意するわけにもいきません。それをやったら「サンタは本当はいない」と認めることになります。

 逆に「何を言ってんだ。いるに決まってるじゃないか!」と否定するのも危険かも。ムキになって「なぜいないと言えるか」をあの手この手で説明し始めそうです。

 大切なのは、我が子の不安を取り除いてあげること。まずは、サンタさんばりに「アハッハッハ」と落ち着いた声で大笑いします。続けて「そうか、〇〇君は誰かにそう教えられたんだね」と、「サンタいない説」をガセネタであるかのように扱います。

 さらに「そう言っている人もいるけど、本当はいるんだよ。中学生だと、まだわからないかもしれないけどね」と言って、大人だけが知る重大な秘密があるかのような気配を漂わせましょう。自信たっぷりに言えれば、とりあえず息子は安心するはず。

 甥っ子が、なおも不満げに「いるわけないじゃん」とブツブツ言うようなら、止めを刺して黙らせます。「〇〇君は、地球がどうやってできあがったかわかる?」「人に親切にしてもらうと、心があったかくなるよね。どうしてかな?」など、答えられなさそうな質問をいくつかぶつけましょう。

 言葉に詰まったら「私たち人間は、知っているようでいて知らないことに囲まれて生きてるんだよね。サンタさんだって、どこかに必ずいるんじゃないかな」と、一気に追い詰めます。実際、何かが存在するか存在しないかは、そう簡単には定義できません。

 しょせん小手先のごまかしと言ってしまえばそれまで。ごまかしではありますが、甥っ子を黙らせてこの場を乗り切ることができれば、息子はもう何年かは、サンタの存在を信じ続けてくれるに違いありません。

 ただまあ、親のいないところで〝真実〟を伝えてしまう可能性は大いにあります。その場合は、それが我が子の運命であり成長過程だと思ってあきらめましょう。

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