社民党の福島瑞穂党首(69)が10日、国会内での定例会見で、高市早苗首相(64)が意欲を示す結婚後の旧姓使用法制化について「通称使用の制度化案は、選択的夫婦別姓のまさに、つぶし法案。選択的夫婦別姓を実現させないためのつぶし法案で、本当に怒りが堪えません」と批判した。
福島氏は「選択的夫婦別姓に関して、通称使用の制度化を来年の通常国会に(関連法案を)出されるということについて、この場で申し上げます」と切り出した。9日の衆院予算委員会で、高市首相が旧姓の通称使用法制化について「与党と緊密に連携しながら、必要な検討を進めていく」などと答弁したことに「きのう(9日)、男女共同参画局、内閣府は『自分たちはまだ知らない』みたいなことでした。じゃあ、内閣府とかも知らなくて、官邸が独走しているんでしょうか。高市総理の独走ですか?高市総理の暴走ですか?と言いたいと思います」と疑問視した。
重ねて、旧姓使用の法制化を「選択的夫婦別姓つぶし法案」と指摘した福島氏は「社民党は、通称使用の法制化法案には本当に、問題ありという立場です。通称使用が認められることには賛成です。でも、これは選択的夫婦別姓を成立させないための法案でしかありません」と主張した。
福島氏は「国際規定で、パスポートの電子データは登録制。身分確定のために、登録制が電子データに入っています。これ、戸籍名ですよね。今、通称使用している人たちは『あんた誰?』っていうか、電子データの戸籍名と通称名が違うので、ものすごくトラブルがとりわけ外国で起きています。戸籍名、カッコ通名っていう日本語記載は全く何の役にも立ちません。電子データが登録制ですから。こういうところが変わらない限り、登録制を通名でするっていうふうには多分ならないと思うんですね。本当に問題です。いろんなところで戸籍名と通称名どっち使うんですか?」と、トラブルの実例を挙げた。
「通称使用の制度化は問題をさらに混乱させ、ダブルネームで混乱を引き起こすだけであって、根本的な解決にはなりません。通称使用が広がることはいいです。でも問題の解決にはならない。通称使用の制度化法案は、まさに選択的夫婦別姓をつぶすために出されるものだと思います」と強調した。
福島氏は「なんで日本では、まともな法律改正が本当にできないのか。選択的夫婦別姓でなく、通称使用の制度化というふうにねじ曲がって、全く違うものに、あるいはより後退するものになってしまうのか」と嘆いた。「全く自民党の責任です。自民党が古色蒼然(そうぜん)として国民の声を聴かないから、こんなことが起きるのだと思います。まさに自民党は、国民政党ではもうなくなりました。国民のことを聴かない、国民の訴えを聴かない、国民の苦しみを聴かないという、そういうことが今の自民党政治で、そういう政治をこそ変えなければならないと思います」と訴えた。