もし我が子が聴覚障害だったら、親の苦悩は計り知れないだろう。聴覚障害を持つ漫画家・あかねさんの作品『わたしの娘は耳がきこえない』は、自分の母親の体験をもとにした作品だ。
物語の主人公は作者の幼い頃をモデルとしたカエデとその母親だ。ある日母親がカエデを保育園に預けたところ、保育士から「耳が聞こえていないかも」と言われる。そして病院で検査をした結果、カエデは聴覚障害と診断された。
そこで、当時はまだ手話が変な目で見られることが多かったため、カエデは口の形を読み取りしゃべる『口話』を中心としたろう学校へ進学した。しかしカエデは親の言うことが分からず物を投げ、電車の床に座ってしまうように。このカエデの様子を見て、母親は絶望するのだった。
そんなカエデに転機が訪れたのは、引っ越しをきっかけに別のろう学校で手話を学びはじめた時だ。今まで意思疎通ができなかったカエデが、ある日手話で「ママお茶のむ」と伝えてきた。そしてカエデは手話で意思を伝えられるようになると、泣くことや怒ることも少なくなっていった。
同作に対して、SNS上では「いい話だった!」「手話って変な目で見られてたんだ」などの声が挙がっている。そこで、作者のあかねさんに話を聞いた。
―同作を描いたきっかけを教えてください
このお話は私の母の実体験がもとになっています。つまり娘のモデルは私です。
母から「小さい頃のあなたはすごく大変だった」と言われてたので、どのように大変だったのかを聞いていくうちに漫画にしてみたいと思うようになりました。
また、漫画を通して聴覚障害をもつ子どもとその親のリアルな体験を描くことで聴覚障害のことを知ってもらえたらと考えました。
―聴覚障害を持つあかねさん自身の経験や描写なども作品に反映しているのでしょうか
主に母の実体験が多く含まれています。
例えば、私が生まれた当時は赤ちゃんに対して聴覚検査をおこなっておらず、耳がきこえないことに気づくのが遅かったことや、手話も変な目で見られることが多かったことです。
辛い思いをすることも多かったと聞いています。
―その他、何かお伝えしたいことがあればお願いいたします
ドラマや漫画などに聴覚障害を取り扱った作品が増え、聴覚障害や手話に対する理解も広まっています。ですが、まだ聴覚障害のことを知らない人も多いので、これからも漫画を通して聴覚障害や手話のことを伝えていけたらと思います。
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