万博で食べられるぞ!近大が開発、クエ×タマカイ=「クエタマ」早く・美味しく育つ"サラブレッド魚"

米田ゆきほ 米田ゆきほ

クエとタマカイを掛け合わせた"サラブレッド魚"「クエタマ」大阪・関西万博のウォータープラザ近く「近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所 大阪・関西万博 ウォータープラザ店」で提供され注目を集めている。クエのような淡泊な味わいと、コリコリとした歯ごたえが特徴のクエタマは、海鮮丼や刺身などで提供される。キャラクターのような可愛い名前だが、一体どんな魚なのか。近畿大学の担当者に話を聞いた。

――クエタマ誕生の由来は?

担当者:クエは非常に成長が遅く、特に低水温では顕著で養殖するのが難しい魚種とされてきました。マレーシアからタマカイの精子を持ち込めることになり、クエとの交雑の研究がスタート。2011年に国内で初めてクエ×タマカイの作出に成功し「クエタマ」と名付けました。採卵は和歌山県を中心に行い、稚魚まで育つと平均水温が高く安定している奄美に輸送し、大きく育てています。飼育環境や年齢にもよるがクエに比べておよそ2~3倍の速さで成長し、味も遜色ありません。

――クエに比べタマカイは馴染みのない魚だと感じますが。

担当者:クエと同じハタ科魚類の中でも世界最大級で、体重は400kgに達することも。特にアジア圏では高級魚として人気だが絶滅危惧種に指定され、養殖している場所もありますが希少な魚です。近畿大学では2024年、国内2例目の人工ふ化に成功しました。

――万博では海鮮丼や刺身で食べられますが、提供できるまでで大変だったことは?

担当者:2011年の作出成功から、少しずつ飼育規模を大きくし、産業化に向け研究を続けてきました。現在はようやく本学直営の店舗で出せる成魚生産と、稚魚の供給もできるようになってきた段階です。近縁といえども異種間は受精率やふ化率が低い場合があり、まだ生産が安定しているとはいえない段階です。

――今後について。

担当者:白浜実験場でクエとクエタマを食べ比べる試食会をしたが、歯応も旨味も脂のりも期待以上でした。成長が早く美味しい優れた養殖魚だが、まだまだ認知度が低いです。ぜひ全国のみなさんにこの美味しさを体験してもらい、認知度を高めていきたいです。

また天然資源に負担をかけず養殖生産量を増やすには完全養殖による人工種苗(稚魚)が必要だと考えています。国が掲げる人工種苗100%の目標に向かってこれからも技術開発を進めたいです。 

◇ ◇

同店舗では同じく交雑魚のブリとヒラマサを掛け合わせた「ブリヒラ」も提供されている。こちらはブリの旨味とヒラマサのしっかりした歯ごたえが楽しめるそう。この機会に是非味わってみてはいかがだろうか。

養殖魚専門料理店 近大卒の魚と紀州の恵み 近畿大学水産研究所
https://www.kindaifish.com/

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