2024年にスクウェア・エニックスから『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の『HD-2D版』が発売された。1988年に発売された同名ゲームのリメイク版だ。発売以来、瞬く間に多くのユーザーによりプレイされ、実況動画などでも広く取り扱われた。また2025年には『ドラゴンクエストクエストI&II』の『HD-2D版』の発売が予定されており、オリジナル版を遊んでいたプレイヤーから期待の声があがっている。
『ドラクエ』シリーズのように、過去の名作ゲームを現代のプラットフォームで蘇らせる動きは今や当たり前のようになっている。その際によく耳にするのが「リメイク」「リマスター」「リブート」という3つの手法だ。これらの違いは何なのだろうか。
リメイクは、オリジナル作品を基にしながらも、グラフィックやゲームシステム、ストーリーなどを大幅に刷新して制作する手法だ。単なる再現ではなく、新しい技術やアイデアを取り入れることで、原作ファンにも新鮮な体験を提供している。
筆者が驚いたリメイク版といえば、2013年にリリースされたスマートフォン版の『ドラゴンクエスト』だ。スマホ版の『ドラゴンクエスト』は1996年にリメイクされたスーパーファミコン版をベースに、さらにリメイクされたゲームだ。先着100万人まで無料でプレイできると知り、すぐにダウンロードした記憶がある。
オリジナルのファミコン版を遊んでいた筆者としては、スマホ向けの綺麗なグラフィックと、タッチスクリーンを活用した新たな操作方法に驚きながら懐かしく楽しんだ。このようにリメイク版には、オリジナル版を大事にしつつまるで新作かと思うような変化を感じさせるものである。
一方で、リマスターとは過去の作品を現代のハードウェアに対応させるためにグラフィックや音質を向上させたものだ。基本的なゲーム内容やシステムは原作そのままであることが多い。
例えば2025年1月にバンダイナムコから発売された『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』では、2010年に発売されたオリジナル版のシナリオをそのままに、グラフィックの向上やオートセーブなどの便利機能が追加された。SNSでは同作について「グレードショップのON/OFF本当に便利」「戦闘中だろうがイベント中だろうが途中でやめてスリープに出来るのが便利すぎる」など、追加された便利機能への賞賛の声が多く上がっている。
最後に、リブート作品を見てみよう。リブートは過去のシリーズやタイトルを大胆に仕切り直し、新しい世界観やシステムで再構築する手法である。元の作品とは異なる物語や設定が導入されることも多い。
2013年にスクウェア・エニックスから発売された『トゥームレイダー』は、それまでのシリーズでトレジャーハンターとの設定だった主人公・ララを、大学を出たばかりの考古学者という設定に変更して大幅に作り変えられた。1997年にプレイステーション版として発売されたリブート前の作品をプレイしていた筆者としては、クールなイメージだったララが、同作では冒険初心者となり驚いたり戸惑ったりしている姿が新鮮で面白く感じた。
それぞれをまとめると以下のようになる。
・リメイク:グラフィックやシステムを大幅刷新
・リマスター:解像度や音質向上など軽微な調整
・リブート:世界観や設定を大胆に再構築
これらの手法によって過去の名作ゲームは新たな命を吹き込まれ、多くのプレイヤーに再び楽しむ機会が提供されている。今年発売が予定されている『ドラゴンクエストクエストI&II』の『HD-2D版』だけでなく、ほかの名作も次々と蘇ることだろう。今後も進化するゲーム業界から目が離せない。