Netflixの韓国ドラマ「その電話が鳴るとき」が、劇中で手話を不適切に扱ったとして、放送通信審議委員会(以下、放審委)から注意処分を受けた。放審委は20日、ソウル市木洞(モクトン)にある放送会館で全体会議を行い、「その電話が鳴るとき」を含めた39件に対し、法定制裁などを決定した。
問題となったのは、昨年11月22日に放送された1話でのシーン。主人公であるニュースの手話通訳者ホン・ヒジュ(チェ・スビン)が「山」を意味する手話(中指を上に向ける動作)の途中で画面が静止してしまい、それに対してニュースキャスターが「ムカつくプロデューサーに仕返ししてくれてありがとう」という趣旨のことを言いながら、中指を立てて見せる場面が放送されたというものだった。
このシーンが「聴覚障害者への侮辱だ」という指摘を受けた。制作放送局のMBCは「手話を不適切に扱い、聴覚障害者や手話を軽んじる状況を生んだという指摘を、重く受け止める」と謝罪。一方で、「手話を扱う上で、不健全な意図があったわけではない。ドラマの重要な要素の一つだと考え、制作に臨んだ」と作品の流れの中での表現だったとした。
しかし、放審委は「一般視聴者は、侮辱として受け取らざるを得ない」とMBCの主張を受け入れず。「制作陣の軽率な演出により、聴覚障害者にとって、唯一の意思疎通手段である手話が面白おかしく描写され、不快感を与えた」とし、満場一致で注意処分を決定した。
同作に出演している女優チェ・スビンは、放送終了後のインタビューで「意思疎通について描いた作品なのに、意思疎通のズレがあった」と遺憾を表明した。「そのような意図ではなかったが、繊細かつ慎重に見るべきだった。反応を見て気持ちが沈んだ」とコメントした。
「その電話が鳴るとき」は、政略結婚をした、やり手政治家のペク・サオン(ユ・ヨンソク)と幼少期の事故によって無口症を発症した妻ホン・ヒジュを描いたスリラー。2人は3年もの間、会話もコミュニケーションもスキンシップもない仮面夫婦として結婚生活を送っていた。しかしある日、ヒジュを拉致したと告げる1本の脅迫電話によって、平穏だった人生が一変する―という物語だ。