今年3月にデビューしたスターダム新人の梨杏(19)が無我夢中で駆け抜けた2024年を白星で締めくくった。同団体の年内最終興行だった29日の「ジャパンキャンピングカーショー2025 presents STARDOM DREAM QUEENDOM 2024」(東京・両国国技館)に出場。試合後に今年1年について直撃した。
ユニット対抗戦となった3WAYクワトロバトルの白川未奈&月山和香&HANAKO&梨杏組―琉悪夏&吏南&稲葉あずさ&フキゲンです★組―鹿島沙希&稲葉ともか&妃南&レディ・C戦。白川が7分4秒、グラマラスドライバーMINAからのエビ固めでフキゲンです★から3カウントを奪った。梨杏は今秋のタッグリーグ戦の相棒、月山和香とのボディプレスをシンクロさせ、見せ場を作った。イーネクサスヴィー(EXV)の白川らとともに4人で勝利の喜びを分かち合った。
梨杏は「両国の舞台で勝てたのはうれしいです。でも、もっと頑張らなきゃいけない。来年は(シングルで)初勝利を挙げないと」と気を引き締めた。
青森県八戸市出身。高校卒業後の昨年3月に入門し、同10月にプロテストに合格も負傷のためデビュー戦が延期。今年3・30仙台大会でスターライト・キッドを相手にプロレスラーとして第一歩を踏み出した。9・19八戸大会で一騎打ちした舞華からの誘いに応じ、EXVに加入した。
父親が大のプロレス好きで、幼い頃から「テレビではいつもプロレスが映っていた」という。本格的なスポーツ歴はなく「友人と話しているのが好きでした」という普通の女子高生だった。新日本プロレスのファンだったが、2年生の時にプロレスラーを進路に考えるようになり、スターダムの大会を観戦し「入場、試合も女子でスターダムが一番輝いて見えました」と決意した。
デビューから舞華の指導を受け、その流れでEXVへの勧誘でユニット入りした。「仲間がいて、私も頑張らないと、と思います」と刺激を受けている。大きな節目は今秋、ジーナの負傷によりゴッデス・タッグリーグ戦への代理出場を直訴し、月山と8試合を戦い抜き、2勝6敗の成績を収めたことだった。「とてもいい経験でした。以前より相手がよく見えるようになり、状況を考えるようになりました。試合ごとに目標を必ず一つ決めて、それができるように頑張っています。〝がむしゃらジャリガール〟という名前を付けてもらっているので、それに恥じないよう、がむしゃらにやります」と現状を語った。
梨杏がデビューした時の女子プロレス界は、スターダムからの主力退団とマリーゴールドの立ち上げが重なり、注目を集めにくい状況だった。梨杏に続く新人は11月にデビューした浜辺纏と期間が空いているため、団体内でレスラー同士の対立軸が立てにくかった。現在、昨年デビューの八神蘭奈、玖麗さやかが対抗意識をむき出しに戦っていることを「バチバチにやり合っているのを見ると、デビューが遅れたとはいえ、もっと頑張って付いていかないと、と思う」と話す。危機感と向上心を持ち、日々を過ごしている。
スポーツ歴がないことを感じさせない身のこなしを試合で見せ、最近は「少し余裕ができた」とメイクやファッションにも気を使うようになった。「毎日が痛いししんどいけれど、試合が終わったら頑張ったな、と思えています。必死に頑張った1年でした」と振り返った梨杏。来年2月には20歳を迎える。初勝利は当然のこと「もっとファンの方、選手からも注目される存在になりたい」と、誓いを新たにしていた。