上谷沙弥 圧巻のだまし討ち!新ワールド王者に「黒い翼を自由に広げる」心理戦の裏側とは【スターダム】

山本 鋼平 山本 鋼平
新ワールド王者に君臨した上谷沙弥=スターダム24年12・29両国大会
新ワールド王者に君臨した上谷沙弥=スターダム24年12・29両国大会

 女子プロレス・スターダムの「ジャパンキャンピングカーショー2025 presents STARDOM DREAM QUEENDOM 2024」が29日、東京・両国国技館で行われ、ワールド選手権は上谷沙弥が21分29秒、旋回式スタークラッシャーでV3防衛を狙う王者・中野たむを撃破し、悲願の初戴冠を果たした。

 悪の女王が至宝ベルトを手にした。「ずっと巻きたかったこのベルト。狂うほど愛しいよ。悪の頂に立った私が、絶対王者として、スターダムをムチャクチャにしてやるよ。スターダム史上最大の悪夢の始まりだ。しもべ達よ、ひざまずけ!」。4度目の挑戦を実らせ、ブーイングを気持ちよさそうに浴びながら、リングの中央に君臨した。

 圧巻のだまし討ちを見せつけた。場外戦でゲート上からチェーンで中野の首を吊り上げ、そのままプランチャを発射してリードも、王者に五分まで押し返された時だった。雪崩式タイガースープレックスを許し、肩を痛めた様子で動けなくなった上谷。客席が静まり、中野が不安な表情を見せ、リングドクターがロープ際に駆けつける中、状態を伺うドクターを突き飛ばすと、一気にペースアップ。王者の必殺技バイオレットスクリュードライバーを決め、最後は旋回式スタークラッシャーで決着を付けた。

 昨年7月の5★STAR GP、中野との初戦で場外にプランチャを放った際に右肘を脱臼し長期欠場。今年3月に退団した林下詩美とのユニット、クイーンズ・クエストを守るため奮闘したが力尽き、7月に極悪軍団H.A.T.E.(ヘイト)入りし、悪に染まった。自身をプロレス界に導いた中野からは、悪からの浄化もしくは介錯をテーマに掲げられたタイトル戦だった。

 試合後、上谷は「真っ赤なウソ。全然問題なかったね」と、だまし討ちの場面を振り返った。昨夏の因縁の試合を挙げ「レフェリーストップされた所からの、続きをお見せしようとしたわけ」とこの試合のテーマを明かした。中盤に不死鳥スプラッシュを狙ってポストに駆け上がり、中野に阻止された場面がポイントだった。「アイツを追いかけさせるための罠。中野たむが阻止するだろうフェニックススプラッシュをおとりにして騙す作戦だった」とニヤリ。多くは語らなかったが、ヒールターン以前のスタイルを見せることで、中野に浄化の幻想を抱かせ、肩を痛がるそぶりで心配させた上で、直後の豹変に対応できなくする狙いだと思われる。

 中野はリングで上谷の腰にベルトを巻かせられる屈辱にまみれ、バックステージでは「ふざけるな!これがあんたのやり方かよ。騙し討ちみたいなことして取った赤いベルトが嬉しいか?お前を絶対に許さない!」と怒り狂った。これも上谷の「これで終わりだと思うなよ。これが1年前の悪夢の続き」と話す復讐劇には想定済みだろう。

 団体の頂点に君臨して迎える2025年。「絶対王者としてスターダム、プロレス界をムチャクチャにして、(挑戦者を)一人残らずブザマな姿にしてやるよ」と言い放った上谷。2021年末の両国大会では、中野からワンダー王座を奪い、15回の防衛を達成した。「白のチャンピオンだった時は、空中殺法の理想に近づくにつれ、見てるヤツらの期待度が高まって、自分自身が苦しくなった部分があったな」と述懐した上で「でも赤いベルトのチャンピオンとしては、黒い翼を伸び伸びと自由に広げるだけさ。防衛の一戦一戦で、どんな形であれ見てるヤツらの心にグサッと刻んでやるよ」と宣言。黒い翼による飛翔が、2025年の女子プロレス界に混乱と興奮を巻き起こす。

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