―Q.ドラマ『モンスター』については、ご存じでしたか?
(早川)はい。もちろん知っていました。この取材のお話しをいただく前から、母が『面白いドラマあるよ』と教えてくれて、初回放送から最新話まで全部見ていました。そのあと、このお話をいただいたので、びっくりしました(笑)。楽しく拝見しています。
(加藤P)ありがとうございます。早川さんから見て、いかがですか?直接感想を聞けることはなかなかないので…
(早川)やっぱり趣里さん演じる神波先生のキャラクターが魅力的だなと思います。裁判だけではなくて、そこに潜んでいる問題や、まだ起こっていないことなど、すごく広い視野で物事を見ている感じがして、神波先生のミステリアスな視線は、遥か先のことを捉えているんだろうなと。それがすごくかっこいいです。
(加藤P)ありがとうございます。ドラマの核となる部分をちゃんと見抜いてくださっていてありがたいです。流し見ではなく、しっかり見ていただいているんだなというのがわかるというか。亮子は、普通の人が見ていない、見えていないものを見ている、深さのあるキャラクターというのが、伝わっているというのは、すごく嬉しいです。そこは1つ意識して作っています(笑)。今日お話を聞いて、早川さんは、高校生で司法試験に合格したという共通点意外にも、亮子に似ているなと感じました。法律にのめり込んでいくところはもちろんですが、亮子は自分の興味があることに対して、ずっと邁進していく人なので。そういった部分が似ているなというか、亮子ってもしかしたら、こうやって育ってきたのかなと(笑)。
―Q.亮子は『高校3年生で司法試験に合格』ということで、早川さんはモンスターを越えた実在するリアルモンスターという感じですね。
(早川)神波先生より1年早く司法試験に合格はしているのですが、本当にただ合格しただけというか、自分はまだまだなので、洞察力や人間力などあらゆる面でいたってないなと感じます。これから経験を積んで、僕が神波先生と同じ年齢になった時、神波先生と肩を並べられるような弁護士になれたらいいなと思います。
―Q.加藤プロデューサーにお聞きしますが、『高校3年生で司法試験に合格した主人公』という設定は、どのようにできたのですか?
(加藤P)彼女の人物像を作っていく過程で、15歳で合格など、“最年少で合格”という設定にすることもできたのですが、あえて最年少にしようという意識はなくて。彼女と父親がコミュニケーションをとる方法が、法廷につれていくことだったり、ただ法律の勉強が楽しくてのめり込んだり、たまたま受けたのがこの時期だった。みたいな形にしていて、全ての行動にあまり意味を持たせてないんです。このドラマ自体、すべてそうともいえるんですが、人間ってすべての行動に意味や意志があるわけではないよねというのを脚本の橋部さんとよく会話するところなんです。行動理由がはっきりしている人間ってそんなにいないよねと。今後明かされていく、亮子が弁護士をやってみようと思ったきっかけもそうなんですけど、一時の衝動や何かのきっかけで、ふと行動してしまう。人間ってそういうものだよねというのが、モンスターの大きなテーマでもあり、各話で登場するモンスターが持つ“人間の危うさ”や“曖昧さ”みたいなものを描いてるつもりです。高校3年生でというのも、若くして合格してやるぞというような意志で受験したというより、彼女にとっては、ただそのタイミングだったという感じですね。
(早川)僕もそういうところがあるのかなと思います。法律を勉強してみようと思えたこと自体、偶然だし奇跡のようなものだったので。人生設計をして狙って最年少を目指したわけではなかったので。
(加藤)そうですよね。最年少をとってやる!というような考えで行動されているのではないのかなと感じました。
―Q.“最年少”にこだわりがないという流れのなか恐縮ですが…、加藤プロデューサーは、カンテレのドラマ制作としては“史上最年少”プロデューサーで、早川さんと最年少つながりということで…、早川さんから加藤Pに何か質問ありますか?
(早川)最年少でプロデューサーになられたっていうことで、 やっぱりそれで批判されたりとか、あることないこと言われることがあると思うんですよね。そういうのに対して、どういうメンタリティーで臨まれているのかお聞きしたいです。
(加藤P)若くしてプロデューサーになったことについては、意外と誰からも何も言われることはなくて、カンテレの人たちもむしろ応援してくれる感じですね。ドラマに関しての批判に関しては、甘んじて受けたいと思っているのと、ドラマを作る上では、嫌な気持ちになっている人はいないかなというベースで、SNSをチェックしたりもしています。内容が難しいとか、ここ変じゃない?みたいなコメントには、そうだよね…わかるわかるとか、あ、バレたか…と思ったり(笑)。賛否両論は全て受け止めつつ、視聴者の方が自分の嫌な思い出を彷彿とさせて辛い気持ちになっていないかという視点を持つことを心がけています。
―Q.好きな弁護士ドラマはありますか?
(早川)『リーガル・ハイ』は、好きでしたね。DVDも持っています。ドラマでいくと実は、『モンスター』の脚本を書いている橋部敦子さんの『僕らは奇跡でできている』も好きです。高橋一生さん演じる、生物の不思議に夢中な主人公の言葉に共感することが多々ありました。
―Q.苦手なことはありますか?
(早川)苦手なことだらけです(笑)。運動も苦手ですし、整理整頓も苦手。苦手なことを1つ上げることが難しいくらい苦手なこと多いです。
(加藤)いやいや…。話をしているだけでも、だいぶ大人な方だなと感心します。
―Q.高校2年生で司法試験合格という快挙を達成し、まさに天才かと思いますが、早川さんが『この人はすごい!』と思う人物は?
(早川)本当に僕自身は、自分のことを天才だと思ったことは1回もなくて。僕がそもそも司法試験を目指したのも、先ほど申し上げましたが、学校の友人たちの影響が大きいんですよね。中学生の段階から化学の賞を総ナメにしている井戸沼くんとか。プログラミングで世界大会に出ている太田くんとか、AIの世界大会で活躍している鈴木くんとか。彼らは、自分の好きなことをとことん突き詰めていて、本当に尊敬しています。彼らに憧れて、自分も好きなものを追求してみようと思い司法試験を目指したので、同級生の彼らこそ“すごい人だな”と思う存在です。
(加藤P)同級生を、友人を尊敬できるって、口に出して言えるのは、すごくいいことですね。
―Q.先ほども話にでましたが、将来の夢や直近の目標を教えてください。
(早川)将来は、日本のクリエイターの権利を守る弁護士になりたいなと思っています。直近の目標としては、 法律だけしか知らないっていう状況にならないようにしたいです。例えば海外で色々な経験したりとか、たくさんのことに挑戦して、人としてひと回りも、ふた回りも成長していきたいです。司法試験の合格は、法曹の入り口にたっただけなので。
―Q.最後に、お互いにメッセージお願いします。
(加藤P)今日お話しできて、自然体に好きなことを突き詰めている“モンスター”だなと感じて、それがすごく亮子と近い気がして、そんな人が現実にいることを目の当たりにして、すごく嬉しいです。亮子に仲間がいたみたいな(笑)。亮子に教えてあげたいと思いました。
(早川)今日は本当にありがとうございました。ドラマの撮影現場も見学させていただき、プロデューサーさんとお話しさせていただいて、自分自身のこれからの糧にしていきたいなと思いました。自分がより視野の広い人間になるための大事なステップとして、ありがたい機会をいただいたなと思います。
(加藤P)趣里さん、ジェシーさんに、実際お会いしてみていかがでした?
(早川)いや、もう、本当にお会いできて光栄でした。ありがとうございました!