テレビ離れが進むこの頃、動画配信サービスの存在感が急速に高まっている。かつては「昨日のテレビドラマ見た?」という会話が日常的だったが、「Netflixの新作見た?」という話題で盛り上がることが増えてきた。この現象の背景には、魅力的なコンテンツを提供する動画配信サービスの台頭がある。
ICT分野およびその他分野の各種市場調査業務などを行う株式会社ICT総研が、2023年04月21日に公表した「2023年有料動画配信サービス利用動向に関する調査」の結果によると、利用している有料動画サービスの上位3つは以下のとおりだった。
Amazonプライム・ビデオ:69.9%
Netflix:30.1%
Hulu:14.0%
以下、Disney+が12.1%、YouTube Premiumが11.2%、U-Nextが10.9%と続く。
1位のAmazonプライム・ビデオは、Amazonプライム会員であれば追加料金なしで利用できるサービスだ。プライム・ビデオのサービスだけでなく、Amazonプライムならではの配送特典サービスや容量無制限のAmazon Photosも利用できるためコストパフォーマンスの高さが最大の魅力だろう。オリジナルコンテンツも充実しており、「ザ・ボーイズ」や「ホイールオブタイム」などの話題作を生み出している。
また、スマートフォンやパソコンのPrime Videoアプリに動画をダウンロードすれば、通信料を気にせずオフライン再生できる。25本まで保存できるため、移動中など、通信環境がない状況でも楽しめるのはありがたい。
2位のNetflixは、国内外のオリジナル作品が大人気のサービスである。近頃では「極悪女王」や「地面師」など、話題作を次々と生み出しており、高品質なオリジナルコンテンツが最大の強みだ。日本の人気漫画「幽☆遊☆白書」や「シティーハンター」が見事に実写化されたのには驚かされる。
さらにNetflixは1つの契約で最大5つまでプロフィール作成可能だ。自分専用のプロフィールを作成しておけば、視聴設定や履歴が自分だけのものになる。家族で共有して使用している人には嬉しい機能だ。
3位のHuluはリアルタイム配信にも対応しており、テレビの代替としても機能している。特に日本テレビ系の番組が充実しているのが特徴だ。Huluには「ウォッチパーティ」という機能があり、離れた場所にいる友人や家族と同時に同じ作品を視聴しながらチャットができるのだ。リモート飲み会を行う際にピッタリな機能といえるだろう。
このように、有料の動画配信サービスは魅力的なサービスを提供している。テレビという無料のメディアがありながらもこれだけ機能豊富であれば、配信サービスを使うのも当然かもしれない。ただ、これはテレビの終焉を意味するものではない。むしろテレビと動画配信サービスが共存し、それぞれの特徴を活かしながらより豊かな映像文化を形成していくのではないだろうか。