気がつけば夏の終わりを感じる気温になってきたが、SNSを見ると10月に入ったのにもかかわらず、道端に「セミが落ちている」という投稿が目につく。地面にいるセミといえば、“生きているか、死んでいるかわからない状態”になっており、世間では、近づいた時に動き出すことを「セミファイナル」や「セミ爆弾」と呼んでいる。
以前X(旧Twitter)に投稿された漫画『巨大セミファイナルを撤去するプロフェッショナルの話』は、読者から高い関心を得たようで4.1万もの「いいね」を獲得。同作は、作者の大谷えいちさんによる『モスのいる日常』(イースト・プレス)という作品から抜粋されたものだ。
主人公の「お兄さん」は、自身が飼っている「モス」と一緒に散歩に出かけると、通りかかった道に横たわる巨大なセミに遭遇。この世界のセミは体がとても大きく、横たわった状態から急に暴れ回ると、最悪の場合、死傷者が出ることもあるそうだ。お兄さんは無理に横を通ることはせず、保健所に連絡。その後、防護服に身を包んだ2人の男性がやってきて、巨大なセミの捕獲に取りかかるのだった…。
命の危険さえも感じるほどの「セミファイナル」を描いた同作には、「現実でもセミを捕獲してくれる人がほしい」「見た目はかわいいのにめちゃくちゃ危険生物で驚いた」など、さまざまな反響が。作者である大谷さんに、『モスのいる日常』や『巨大セミファイナルを撤去するプロフェッショナルの話』を描いたきっかけについて話を聞いた。
―『モスのいる日常』を描いたきっかけを教えてください。
Xにて大きくてふわふわの蛾をモスモスするイラストを掲載したところ、本当にたくさんの人に楽しんでいただいたことがきっかけです。ありがたいことにイーストプレスの編集さんからお声がかかりまして、『モスのいる日常』の漫画連載が始まりました。
―では『巨大セミファイナルを撤去するプロフェッショナルの話』を描いたきっかけも教えていただけますか?
セミは本当に身近な虫なので、いつかはエピソードを入れたいと思っておりました。『モス日』初のモス以外の虫がテーマの回でしたので、編集さんからは「可愛く描いてくださいね!」「絶対に可愛く描いてくださいね!」と言われていました。私もセミの裏側が受け入れてもらえるか心配していたのですが、読者様に楽しんでいただけた時は本当に嬉しかったです。
―個人的に、いわゆる「セミファイナル」を恐れているタイプなのですが、大谷さんは特に怖くないタイプなのでしょうか。また最近でセミ関連のエピソードがあれば、ぜひ教えてください。
実は私も怖いです。通りかかったら「来る…」とわかってはいるのですが、セミファイナルは本当に動きが予想できないんですよ。
それでも去年や今年の夏は蝉が本当に鳴かず、セミファイナルにもあまり遭遇しませんでした。恐ろしいトラップではあるのですが、なければないで「この猛暑は大丈夫なのだろうか…」と別の恐ろしさを感じます。もしかしたら、年に何度かはファイナルされる世の中の方が安心できるのかもしれませんね。
―最後に大谷さんの作品を楽しみにしている読者にメッセージをお願いいたします。
いつもモスのいる日常を本当にありがとうございます!おかげさまで単行本2巻も発売が決定いたしました。今後とも大きなモスや虫たちをよろしくお願いいたします!!
<大谷えいちさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
▽『モスのいる日常』の連載ページ
https://comic-porta.com/series/124/
▽『モスのいる日常』(イースト・プレス)