大学生活の最後の締めくくりとなる卒業論文。今、SNS上ではそんな卒業論文を書く際の「大事なこと」が大きな注目を集めている。きっかけになったのは甲南大学文学部教授の田野大輔さん(@tanosensei)の投稿。
「音信不通はやめろ。あわせる顔がなくても出てこい」
「苦しみを乗り越える。無理だと思ってもさらに2~3段階先まで行け」
「立ち止まらずにとにかく手と足を動かす」
と書かれたホワイトボード。2つ目、3つ目はよりよい論文を書くための心がけだが、なによりまず「音信不通はやめろ」。これは論文がうまく書けなくとも、とにかくゼミに顔を出してほしいという、現役で教鞭をとる田野さんならではの熱く優しいメッセージなのだろう。田野さんに話を聞いた。
ーー実際に音信不通になってしまう学生はどれくらいいるのでしょうか?
田野:少数ですが、数年に1名程度います。本人が怠惰でやる気がないからというより、まじめで真剣に取り組んでいるからこそ、自分の理想とのギャップに悩んでゼミに出席できなくなってしまうようです。
ーーご投稿に大きな反響がありました。
田野:ちょうど卒論を執筆する時期のせいか、現在同じような悩みをかかえている学生、過去に悩みをかかえていた元学生の心に刺さったようです。「このようなアドバイスを最初にしてもらえて気持ちが楽になった(このようなアドバイスを最初にしてもらえていたら気持ちが楽になったはず)」という声が多数寄せられました。
今回の投稿が卒論に真剣に取り組んでいる学生の気持ちを楽にできたのであれば、私としても嬉しく思います。卒論の執筆、頑張って下さい。
◇ ◇
SNSユーザー達から
「音信不通で一時の恥からは逃げた気になれても失うものは大きいですよね」
「音信不通やったけど一週間前に戻って体裁だけ整えて卒論を提出した思い出😢
この決断は間違ってなかったわ」
「知人の子は卒論音信不通で卒業し損ねました
しかし、最近は半期という概念があるので次の秋卒業できたとのこと
教授から言われたのは『やばいと思った時にそう報告してくれていたら、間に合う方法を考えられたのに』と…」
など数々の共感の声が寄せられた今回の投稿。これから卒論制作を控えている方はぜひ参考にしていただきたい。
なお今回の話題を提供してくれた田野さんは教鞭をとるかたわら、昨年、小野寺拓也さんとの共著で『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波書店)を上梓。紀伊國屋人文大賞2024を受賞している。ナチスの「功績」と言われるものが本当に評価に値するか検証した、歴史を考える上で大切な気付きを与えられる内容だ。ご興味ある方はぜひ手に取っていただきたい。
田野大輔さん関連情報
Xアカウント:https://x.com/tanosensei
公式ホームページ:https://www.eonet.ne.jp/~dtano/dTANo.Mac/purofiru.html
『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波書店):(リンク)