スターダムのシングル最強決定戦「5★STAR GP 2024」が10日、横浜武道館大会で開幕し、キャリア8カ月の新鋭、八神蘭奈が白星発進を果たした。3分30秒、横十字固めで鹿島沙希から3カウントを奪取した。
ゴッズアイの同門対決。壮麗亜美が左膝手術で欠場したために急きょつかんだチャンスで、番狂わせを起こしてみせた。試合中に今リーグ戦のスポンサー、サミーの新パチンコ台「e北斗の拳10」のPRに全集中する鹿島に痛恨の黒星を見舞った。「e北斗の拳10」のボードを抱えながらフットスタンプを繰り出し悦に入る相手を、八神は素早く抑え込んだ。
八神はあっけにとられる相手を尻目に満面の笑顔で勝ち名乗り。バックステージでは「一緒に練習しましょう」と呼びかけたが、鹿島から「パチンコに行こう。絶賛可動中のスマパチ『北斗の拳10』を一緒に練習しよう」と訴えられ、先輩のある意味での〝強さ〟を体感した。
昨年12月25日にデビュー。水泳14年、クラシックバレエ12年、日本舞踊6年、そして空手8年(三段)の経験を持つ。ドラマーとしてバンド活動をしていた際、音楽とプロレスを融合させたイベントで朱里と出会い、個人的な交流が続いていた。朱里と一緒に観劇した宝塚の幕間に入門の気持ちを伝え、練習生を経て昨年10月にプロテストに合格。今年は横浜BUNTAIなど大会場への出場も重ね、他団体WAVEの若手リーグ戦に出場して準優勝。7・27北海道大会では、挑戦失敗したものの吏南とのフューチャー選手権試合を経験した。
八神は「私の出場は“ラッキー枠”と言われていますが、自分でもそう思います。それでも壮麗さんが自分に託してくれたのは、自分のことを見てくれていたから。壮麗さんからは『八神のことだからゴッズアイ、私(壮麗)のために頑張ろうと思うだろうけど、自分のために頑張ってほしい』と言ってもらい、ジーンとしました」と感謝を口にした。朱里からはフューチャー選手権の映像を一緒に確認し、助言を受けた。「私の使っている技はデビュー戦からほぼ変わっていない。その精度を高めることを意識しています」と語った。
朱里も以前に課題として挙げていた、試合中の表情の硬さは克服したように見える。八神はうれしそうに「それは試合を楽しめるようになったからだと思います。以前はやらなきゃ、という気持ちが強すぎました。戦いながらお客さんの反応が分かるようになりました」と笑顔を見せた。
ゴッズアイに加入後、朱里や壮麗の表情の豊かさに感化されたという。また、今年3月にシンデレラ・トーナメントで天咲美由と対戦した際、先輩から「試合は良かったけれど、お客さんが入り込めていない。2人だけで試合をしている」と注意を受けたことも分岐点の一つだった。楽しみながら戦うことが、ファンとの共感を作り出すことを、プロとして実感できるようになった。
この日は自身の髪形のような、黄と黒にゴールドがまぶしく、左右で裾の長さが異なる新コスチューム姿で登場。「以前のものから白と紫を省きました。新しくアシンメトリーも取り込みました」と満足そうに語った。白星発進を果たしたリーグ戦。笑顔で「ラッキー枠では終わりたくない。この1カ月、成長しまくって決勝トーナメントに進みたい」とうなずいた八神。この1勝で満足するつもりはない。
今リーグ戦はレッド・スターズ、ブルー・スターズが各2組に分かれ、計28選手が参加。各組2位まで計8選手が決勝トーナメントに進出。8・31武蔵野の森大会で優勝者が決まる。◆各ブロック出場選手と開幕戦を終えての勝ち点【RED STARS-A】舞華(2)、葉月(2)、琉悪夏(0)、なつぽい(0)、小波(2)、愛海(0)、水森由菜(―) 【RED STARS-B】岩谷麻優(2)、中野たむ(0)、渡辺桃(0)、AZM(2)、星来芽依(1)、飯田沙耶(―)、稲葉ともか(1) 【BLUE STARS -A】安納サオリ(0)、朱里(2)、スターライト・キッド(0)、ジーナ(0)、コグマ(―)、アナ・ジェイ(2)、天咲光由(2) 【BLUE STARS -B】鈴季すず(1)、上谷沙弥(2)、羽南(1)、鹿島沙希(0)、八神蘭奈(2)、テクラ(―)、世羅りさ(0)