足が速くトークも巧みで女子にモテる〝完璧男子〟の風間藤也が、ひょんなきっかけで真の友達がいないことが発覚!「友達ぐらい簡単に作れる」ことを証明するため、コソ弁で牛丼をかき込む〝爆食女子〟の肉原みち子に友達を申し込む?!この二人の奇想天外な物語が動き出す━━「肉と恋」(集英社)
「ぽっちゃり女子との爆食青春ストーリー」と銘打たれ、電子書籍限定で配信された作品「肉と恋(全17巻)」。なんでもそつなくこなす完璧男子の藤也と、爆食が自慢の肉原みち子による、絶対に交わるはずのない二人が織りなす青春ストーリーに、数多くの共感の声を集めた。
作者は、数々の漫画の新人賞を獲得後、「普通の国のお姫様」(集英社)連載デビュー後、「地獄の三十路録」「姨捨星」(ともにKADOKAWA)などを発表した、漫画家の結木万紀子さん(@sogenakogena)。今回は、一部熱狂的な読者から支持される本作について、創作の背景などについて話を聞いた。
少女漫画の定番を逸脱
集英社が運営する少女・女性向けアプリ「マンガMee」で連載していた本作は、一体どのようなきっかけで誕生したのか。最初の関心は、「肥満への興味」だったと結木さんは言う。
「もともと、肥満キャラというのに関心があったんです。それで、連載をするとなった時に、少女漫画の定石にある〝地味な女子がいきなりイケメンに見初められる〟というのを少し改変して、「イケメンが肥満の女子から人間的興味で目が離せない」という話にしてはどうだろうと思いました。売れ筋とは違う作品だったので、ネームを送ると編集者に驚かれましたけどね」
本作の魅力は、女子から強く共感を集める爆食の肉原みち子。このキャラは、とある人気作の登場人物からインスピレーションを得たという。
「『涼宮ハルヒの憂鬱』というアニメを観た時に、ハルヒの自由な振る舞いがまわりを振り回しているように感じ、少し気になるなと思ったんです。それで、「ハルヒの容姿を変えても気になるのか?」と思って、『ハルヒが肥満だったらどうかな』と考えたのがきっかけです。そこから「肥満体の女性キャラがまわりを振り回す」というフォーマットは面白いかもなとずっと思っていました。着想としては、そういう感じですね」
また、本作のような青春ストーリーをはじめ、「地獄の三十路録」のように、男女間の絶妙な関係性を描く作品が多いことについては、より普遍的な視点から語ってくれた。
「漫画の企画は、作者の専門知識だとか前職だとかがカギを握るものだと思っています。なぜなら、取材の必要がないですし、後から取材した人よりも詳細に描けるからです。その点、私はこれといった専門分野もないことを自覚しているので、必然的に〝人間同士の心の機微〟をテーマに描くことが多くなりました。男女の格差や男女それぞれの生きづらさなどは、書き手と読み手の両方で関心が高まっているテーマでもあるので、人間関係を描くときにはそのあたりも少し意識しています」
こうした鋭い視点から描かれた本作に続き、次にどのような目標を見据えているのか?
「今年の2月に紙の単行本を出してみて、自分の未熟さを痛感しました。なので、腕を磨くという意味でも、電子メインでもともと好きだったBLで何作か描いてみようかなと思っています。あと、市場に出た際に、私の画力では訴求力が足りていないなと思ったので、ネーム原作もしてみたいなと漠然と思っています」
人間関係の深みを描く結木さんは、これからどのようなシチュエーションやキャラで驚かせてくれるのだろうか。目が離せない。
<結木万紀子さんInformation>
■エックス /
https://x.com/sogenakogena
■「肉と恋」(掲載サイト「マンガMee」)
https://manga-mee.jp/detail/52474
▪️電子書籍
https://www.s-manga.net/items/microcontents.html?jdcn=08X10000000020173600