社会人になるにつれて着る機会も増えるスーツ。商談や出社前に「久しぶりに着るけどこれで合っているかな…」、「この組み合わせって大丈夫だっけ…」と悩むことや、「オーダーしてみたいけれど、値段が高そう」と感じることもあるだろう。そこで東京千代田区に本社を構え全国46店舗を展開、フルオーダーメイドのスーツを作成・販売する「オーダースーツSADA」の佐田展隆社長が、現代に合ったスーツの着方や流行、昨今のオーダースーツ事情について教えてくれた。
① スーツを着る上で「これだけは守ってください」という項目はありますか?
A.もちろんいろいろありますが、一番は「体にフィットしているか、好みにフィットしているかどうか」。これが最低限の要件で、外していたらビジネススーツである意味がないです。過去に500人くらいを対象に「スーツが原因で印象が台無しにしているビジネスマンを見たことありますか」(複数回答可)とアンケートを取ったんですが、「だぼだぼなスーツを着ている人」が79%でダントツ1位だったんですよ。3位は「丈の短いパツパツなスーツを着ている人」(48%)だったんですね(2位は「古くさいスーツ」)。大まかに言えば「フィット感が大事」という結果になった。こと「ビジネススーツ」に関しては、こういう観点が重要になってくると思います。最近は既成量販店さんもオーダーに力を入れ始めていますし、体に合っていないスーツはだらしなく見えるというのは誰もが思っていたことですからね。
② マナーとしてスーツに合わせてはいけないものはありますか?(リュック、ダウンなど)
A.結論、TPOが大事だと思います。例えば自転車通勤をするというときに、手持ち鞄を持ってというのは非効率ですよね。冬場で寒いのに、凍えながら分厚いコートを着て出勤というのもおかしな話です。私も寒いときはダウンを着ていますし、そのときに合わせた格好をするというのは全然良いと思います。もちろん細かいルールやマナーは存在しますが、スーツの目的は「相手に礼を尽くすためのもの」。本当のハイクラスの方と商談に行くというときにちょっと考えれば良いだけです。それに十分だと本人が考えるなら、アレンジや崩しは全然問題ないと思っています。
③ あえて「これはちょっと…」と思う物を挙げるとするならば
A.スニーカーですかね。絶対革靴で、とは思わないですが「ガンガン歩くので」と言うのはわかりますけど、少なくとも私の解釈でかっこよく見えない。元々礼を尽くすものなので、そこだけ崩す意味がわからないんですよね。今なら歩きやすい革靴もありますし、ランニングシューズをあえて履いて変な感じになるよりは、歩きやすい革靴探した方が良いんじゃないかなとは思います。
④ 最近流行しているスタイルはありますか?
A.ちょっと前までは「とにかくタイトが良い」という流れがあったんですけど、それが完全に一段落して普通目に戻ってきたところです。なので「ノータックじゃないとダメ」という時代もありましたけど、今はワンタックが普通で、進んだ人はツータックを付けていたりします。あとはベスト付きのオーダーが10年前はほとんどなかったんですけど、「こんなに皆さん作ってくれるんだ」というぐらい増えて工場のキャパも増やしました。確かにスリーピースはよりフォーマルで敬意を表現できるので、「じゃあベストも一応」という方が増えている。スリーピースは完全に定着しましたね。最近でいうと、おしゃれな人はタイト目なダブルのスーツを丈短めで作る人がいます。ちょっと変わったもの、個性を表現したい方には作ってみられると面白いですね。