「印象が何割引きかに」なる着方は避けよう!オーダースーツ販売社長が就活生、新社会人にもの申す

髙石 航平 髙石 航平
フルオーダースーツ店を営む佐田展隆社長
フルオーダースーツ店を営む佐田展隆社長

 新年度となり、新生活や就職活動でスーツを着る機会が増えてくるこの季節。ただ「会社の指示だから…」としょうがなく着ていたり、着せられている人も多くいるのではないだろうか。そんな現状に「喝」を入れるように、東京千代田区に本社を構え全国46店舗を展開、フルオーダーメイドのスーツを作成・販売する「オーダースーツSADA」の佐田展隆社長が、「スーツ」の存在意義と重要性について熱弁した。

 「日本人は『なぜビジネススーツというドレスコードが存在するんだ』ということをわからなくなってきている気がするんですね」

 そう話し始めた佐田社長。「元々は会う相手に礼を尽くすためのアイテム。ビジネスの場においては最上級のドレスコードなんですよ」と本来のビジネススーツの役割を解説した。ただ昨今は「日本人はものすごく『おもてなしの精神』にあふれているので、誰に会うにしても礼を尽くさないといけないみたいな。誰に会うにしてもスーツを着てこいみたいに言われる時代が長く続いてしまって」とコモディティ化が促進した背景を説明。それ故に「スーツをなぜ着るのか」という目的の部分が忘れ去られ、「着ること」自体がフォーカスされることとなった。その結果を「WHYがすっかり忘れられて、抜け落ちちゃったのが日本のビジネス界」と表現し、今のスーツのネガティブな印象へつながってしまったと原因を分析した。

 リクルートスーツについても同じ現象が起きているようで「とりあえずスーツでありさえすればいいですよね。体に合っていなくてもスーツさえ着てれば良いんですよねという風潮になっている」とぽつり。実際にオーダースーツ会社であっても、そういった格好で面接に現れる就活生もいるようで「きっちりした格好の人は印象に残る。逆にだぼだぼなスーツ着ている人に立派なあいさつをされても、残念ながら人間は感情の生き物なので。何割引きかになっちゃうんですよね」と正直に打ち明けた。スーツの色についても「昔はチャコールグレーとか濃紺もあったが、今は黒一色。欧米でいえば礼服ですよ、黒がまん延しているのは日本だけ」と残念そうに語った。

 そんな現代のスーツ事情を見かねた佐田社長は「スーツって本来、敬語と同じようなものなんです」と話す。「どちらも人間関係を円滑にするために大事なこと。ちゃんと使うことで敬意が表現できるはずなのに、それがだらしない格好だと伝わらないですよね。それがもったいない」と提言し、「そこを思い出してくれたら、ちゃんとした場ではちゃんとした服装でないといけないと理解する人は増えると思う」と力説した。

 では敬意を表すことができるスーツの必要条件とはなんなのか。それは「体にフィットしているかどうか」だという。佐田社長は「本人が望む着心地、シルエットが表現できているかどうかが大切。それを外していたらビジネススーツである意味がない」とまで言い切った。理想に近づけるために「オーダースーツを作る際に20数カ所合わせないといけないところがあるのに、既製スーツだと身長とウエストだけで合わせにいく。それで似合わないのは当たり前なんですよね」とオーダーの利点を説明し、「どこか妥協して買うよりは、せっかくならオーダーで仕立ててほしい」と売り出した。

 SADA社はそんな誤解を解き、若者にスーツの良さを知ってもらうためにTikTokやYouTubeなど、SNSでも積極的に発信を続けている。最後に「チャンスの神様は前髪しかない。巡ってきたチャンスをぐだぐだの身なりで逃すのはもったいなくないですかと思うんですよ。いつどこでくるかわからないわけですから」と話した佐田社長。「『メラビアンの法則』というのがあって、その人の印象の55%は視覚情報で決まる。視覚でビジネススーツが占める割合って大きいですよね。それにちょっと気合を入れてみるのもいいんじゃないかな、と若い人にはお伝えしたいです」と新社会人、就活生に向けて改めて提案していた。

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