困ってない!?「デジタル遺品」の整理 「放置した」が約30% 専門家が提唱する解決方法

よろず~ニュース調査班 よろず~ニュース調査班
画像はイメージです(tippapatt/stock.adobe.com)
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 身内が亡くなったとき、「デジタル遺品」で困ったことありませんか?デジタル遺品とは、デジタル機器を通さなければ確認できない遺品のこと。スマホなどのデバイスはもちろん、ネットで登録したクレジットカード情報やSNSのアカウントなど、ログインすることで把握できるものも含まれる。そこでデジタル遺品について、「LIFULL senior」社が遺品整理の経験のある100人を対象に実態調査を行った。

 まず整理をしていく上で「故人のデジタル遺品整理は完了したか?」という質問をしたところ、「概ねの整理はできた」が51%と最も多いものの、「対応がわからず、すべて放置した」が2%、「あまり整理が完了できず、放置するものが多かった」が27%となり、放置という選択をした方が約3割もいることが明らかになった。インターネットが普及した昨今、故人がどのようなデジタル遺品を残していたかの把握が難航するケースが多くなっているようだ。国民生活センターによせられた相談例としては、「故人が使用していたスマートフォンやPCなどのロックが解除できず、手続きに自体に進めない」という事例も多く挙がった。

 次に「故人とデジタル遺品について話し合えていたか」という質問をしたところ、「故人に働きかけたがが、十分に対応してもらえなかった」が36%で最も多く、9割が会話が不十分だったようだ。不十分なままとなった背景としては、「デジタル遺品の整理まで考えが及んでいなかった」や、「急逝したことで備えられなかった」という意見が目立った。また「生前整理の話題を出すと必ず機嫌が悪くなり、話せる雰囲気ではなかった」と話題そのものを避ける人も見受けられた。

 その結果通り、故人のデジタル遺品の情報管理については51%が「特に管理していない」と回答。その上で遺品整理において81%が困り事があったと回答し、意思疎通がうまくいっていないことが伺える。具体的に困ったこととして「全容が不明だった」が58%、次いで「ロックを解除できなかった」が32%と、デジタル遺品情報の多くを占めているデバイスの解除ができないことで、全容把握が難しいものになったと考えられる。

 最後に「生前、デジタル遺品について故人にどのような対応をしてほしかったか」と問うと「登録状況・アカウント・パスワードの詳細リストの用意」が55%で最多だった。やはりデジタル機器を通すことのみで確認できるデジタル遺品の特性上、全容を把握できるリストの優先度が高く、故人の望みについて生前に確認しておくことで困りごとを未然に防ぐことにつながると考えられる。

 社会現象にもなっているデジタル遺品の整理について、一般財団法人・遺品整理士認定協会の長谷川正芳氏は「デジタル遺品の処分業者は、物理的な破壊をもってデータの流出を防止することが可能です。ただ、スマートフォンやPCのパスワードの解除は難しい技術であり、業者では担えないケースが多いのも実情です。もちろん一部対応ができる場合もありますが、解除補償がない契約も見られ、高額な費用を支払ってもロックが解除できないケースも少なくありません。スマートフォンは急速に普及が進み利用者は増えていますが、遺品の観点からは問題もあります。生前の内にロックの解除方法については、親族内で共有されることを強くおすすめします」と呼びかけた。

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