元卓球日本代表でロンドン、リオの五輪２大会連続メダリストの福原愛さん（３５）が１５日、都内の日本外国特派員協会で会見を開き、子どもを連れ去ったとして元夫で元卓球台湾代表の江宏傑氏（３５）と争っていた問題が和解したと発表した。
これを受け、元大阪市長で弁護士の橋下徹氏がＸ（旧ツイッター）を更新。「元夫婦間の関係はどうであれ、子供を育てるにはしっかり共同して頑張って欲しい。これが共同親権。今の日本は単独親権のみだが、やっと共同親権も選べるようになる。前進。」と所感を述べた。
今回の騒動は、昨夏に福原さんが夏休みを利用して江氏のもとにいた息子を日本に連れて帰り、そのまま江氏に息子を戻さなかったことが発端。江氏は昨年７月に日本外国特派員協会で「福原さんを子供連れ去りで訴える」と題して、大渕愛子弁護士らと会見を行っていた。
この日の会見では、冒頭に福原さん本人が登壇して挨拶。「このたびは私のことで皆さまにご心配やご迷惑をおかけしてしまい大変申し訳なく思っています。江さんと和解いたしましたので、この場を借りて、皆さまにご報告をさせていただきます。これからは江さんと協力して子供を育てていきたいと思っています。皆さまには、どうか温かく見守っていただければ幸いです。今後ともよろしくお願い致します」と謝罪し、降壇した。
続いて大渕弁護士が状況を説明。昨年７月の会見では、福原さんが面会交流期間を過ぎても息子を江氏に戻さず、自身を親権者に指定するよう求める申し立てを行い、江氏からはこの引き渡しを求める申し立てを実施。東京家庭裁判所から、江氏に子どもを引き渡すよう福原さんに命じる審判が下りたことを説明していた。
引き渡しを命じる審判は昨年７月２１日。通常の審判に加え、緊急性がある場合に認められる保全の審判も同時に下った。大渕弁護士は「保全の審判は不服申し立ての有無にかかわらず、ただちに効力が生じて、強制執行が可能となるものです。江さんとしては任意の引き渡しを求めたが難しく、強制執行の申し立てを行いました。しかしながら、強制執行を行う調査をした際、福原さんと息子さんが既に中国に渡っており、強制執行を実行できませんでした。福原さんからは抗告がなされ、抗告審は東京高等裁判所で審理され、昨年１２月２１日に抗告申し立てを却下する決定が出されました。その抗告却下の決定に対して、最高裁判所に特別抗告が申し立てられました。一方、江さん側から警視庁に刑事告訴を行い、受理されました」と経緯を語った。
その後、福原さんの刑事事件の代理人から大渕弁護士に和解の申し入れが行われ、代理人間の協議の結果、息子を江さんに引き渡すことを軸に和解が成立した。
大渕弁護士は和解内容について「福原さんに息子を会わせないのではなく、二人で協力して育てる。共同親権は維持し、監護権は江さんに帰属したまま、という内容になっています」と語った。また、台湾側の代理人から、福原さん側からの不服申し立てが取り下げられ台湾内での訴訟がなくなったことも説明された。後の質問では大渕弁護士が「日本でも台湾でも会う時間は確保されている」などと話した。
福原さんの代理人を務めた酒井奈緒弁護士は壇上で「福原さんが刑事告訴された後、依頼を受け、刑事の代理人になりました。その関係で刑事の立場で関与、和解にも関わることになったため、刑事弁護と和解に関わる以外のこと、民事、それ以前の問題は把握していません」と前置きした上で説明。「本件は面会交流期間が過ぎても福原さんが息子を江さんに戻さなかった。以後、裁判所から命じられても引き渡さなかったのは不適切と言わざるを得ません。なぜ、そのような対応をしてしまったたかというと、当時、相談していた方からそのようなアドバイスをされたたため、と聞いています。今回、私たちからは率直に、態度を改めないとダメだと話しました。福原さんも理解し納得したことから、私たちから大渕弁護士に刑事弁護の過程で和解を申し出るに至りました」と述べた。「江さんからは和解に応じて頂き感謝しております。息子さんのためにも紛争が続くのは良くなかった。和解で良かったと思います」と続けた。
江氏は日本で息子の引き渡しを終え、既に離日している。会見では中国語でメッセージが読み上げられ、大渕弁護士が日本語に訳した。
江氏からの「皆さまに心からの感謝を申し上げたい。日本の私に関する訴訟において、日本の裁判所が公正で合理的な判断を下し感謝しています。また、ここで記者会見を開かれた後、たくさんの応援をいただき励みになりました。日本の裁判所、国民の皆さまに再度感謝申し上げたい」というメッセージが伝えられた。
