2022年6月に施行された「AV出演被害防止・救済法」(AV新法)の見直し時期を前に、セクシー女優ら約100人が23日、都内をデモ行進。同法を業界関係者が働きやすいよう改正することを訴えた。TVプロデューサーでタレントのテリー伊藤(74)も、女優らとともに銀座を練り歩いた。
関係者によると、アダルト業界過去最大のデモ活動だという。セクシー女優らは、降りしきる雨の中「本来出演者を守るための法律が、逆に出演者を苦境に追い込んでいます」との垂れ幕やプラカードを掲げた。警察に先導されながら「表現の自由、職業選択の自由を守れ!」「AVをコンテンツとして認めろ」などと声を上げ、テリーは先頭に立ちながら詳しく事情を聴いていた。
AV新法は、施行後2年となる2024年6月の見直しが規定されている。同法をつくった関係議員は①性行為映像制作物の公表期間について「○年以内」としなければならない旨の規定を設ける②性交を実際に行う、いわゆる本番行為の撮影を内容とする契約のあり方について検討を行う、などとしている。
一方、主催した「AV産業の適正化を考える会」は、同法で規定された撮影禁止期間(1カ月)や公表禁止期間(4カ月)の〝1カ月・4カ月ルール〟など過度の規制が多様な働き方を妨げ、憲法22条の「職業選択の自由」に基づく「営業の自由」に反すると指摘している。
制作本数の減少や新人・中堅女優の仕事の減少、アングラ現場等への出演者流出が起こっているとし、同法の条文などから「被害」という文字を削除することや、出演者の希望によって1カ月・4カ月ルールを縮められる改正案を提示。署名活動を行い、国会に声を届けるとしている。
デモ後に取材に応じたテリーは「精査されずにできた法律。施行された後、弊害が出てきた。仕事ができなくなって、本当にお金がない。ギリギリのところで踏ん張っている。彼女たちは自分の体で勝負をしている。AVは立派な職業。助けてあげたい」と、女優たちの思いを代弁した。
米国でかつて施行され、世紀の悪法と呼ばれた禁酒法の例を挙げ「酒が禁止され、マフィアが酒をつくった。女優が、悲惨な海外の闇の世界に行くだけ」と強調。1カ月ルールで、新人女優が出演を熟慮できるなどの利点もあるとしながらも「悪い部分もある。彼女たちでなく、スタッフも仕事がなくなっている。与野党関わらず、国会議員に声を届けたい」とした。
デモの先頭に立ったセクシー女優の綾瀬麻衣子(51)は、涙ながらに「当たり前の権利が、なぜこの職業だけ認められないのか」と理解を求めた。元幹部自衛官で、東京・世田谷区議選に出馬経験がある吉川蓮民(はすみん、27)も「作品を出したにもかかわらず、昨年の年収は40万円。日本の若い人の違法な海外への出稼ぎを防ぐため、政治家のみなさんは票にならないからといって、見捨てないでほしい」と語気を強めた。