時代と共に移り変わっていることと聞いて、何がパッと思い浮かぶだろうか。話題になるテーマでいえば「職場の飲み会」、「テレビ離れ(ネットの普及)」などがあるが、2月の風物詩ともいえる「バレンタイン」が今、大きな転換期を迎えている。
かつてバレンタインと言えば、恋する女性が意中の男性に愛を込めてプレゼントするいわゆる「本命」チョコ。もしくはお世話になった人にあげる「義理」チョコ、「友」チョコを〝送る〟ことがメインのイベントというイメージが大きいだろう。
ただ販売現場の状況は変わってきていると話すのは株式会社イトーヨーカ堂の銘店・食品ギフト担当マーチャンダイザーの荒幡氏。16日に東京都江戸川区のイトーヨーカドー葛西で行われた「2024年のバレンタイン商品説明会」で、拡大しているバレンタイン市場において「内食」需要がもっとも大きく伸びていると説明。つまり人に「送る」というより、「自分のために買う」需要が増えているというのだ。
また「顧客の心理として、『義理チョコ』という概念が消えつつあることも把握できたことが売り上げ増につながった」と荒幡氏は言う。メインターゲット層の女性が男性にあげるためのものではなく、女性が「欲しい」と思えるパッケージや味の種類を増やすことで売り上げを伸ばしている。
その裏付けとして、チョコレートジャーナリストとして活躍する市川歩美氏は「バレンタインの用途が二極化している」と話す。従来通りのギフトとしての用途と、「自分チョコ」として、ある種ご褒美として購入する用途。統計的に見ても、後者に予算を多く使う人が増えている。
女性が求めるチョコレート像、パッケージとして「見た目」が大きいと語る荒幡氏。「味が良いのは前提条件。いかに商品の前に足を止めていただけるか」。味、値段、見た目。全てが求められるバレンタイン戦線、機会があれば一度のぞいてみてはいかがだろうか。