プロレスラーの安納サオリは今年4月にスターダムのマットに約6年ぶりに登場。以降は継続参戦を果たし、今年最後のビッグマッチ、29日の東京・両国国技館大会ではワンダー王者・MIRAIに挑戦する。「私がこうなっているとは想像もしなかった。目の前のことに一生懸命だった積み重ね」。大一番を前に、スターダムでの戦いを振り返った。
13日の調印式。シックなロングドレス姿の安納は「私が支持したMIRAIから勝ちたい。2023年の集大成、そして来年につなげる一日にしたい」と言い切った。11・18大阪大会では30分時間切れドローで、3度目の防衛を許した王者との再戦へ、決意を示した。
アイスリボンへの参戦を終えた今年4月2日、後楽園ホール大会でKAIRI(現カイリ・セイン)に導かれスターダムのリングへ約6年ぶりに登場。同月23日にはKAIRI、なつぽいとのトリオでアーティスト王座に輝いた。同王座は初防衛戦で手放したが、なつぽいとタッグを結成し、8・13大阪大会でゴッデス王座を奪取。1度防衛した後、なつぽいの負傷離脱で返上を余儀なくされたものの、今回のワンダー王座挑戦へと、存在感を示し続けている。
「初めて後楽園のリングに上がった時は、私がこうなるとは想像もしなかった。目の前のことに一生懸命だった積み重ね。先のことなんて考えられない。今で必死やから。初めてのことが多くて、新鮮な気持ちで戦えました。だから本当にありがたいことやと思っています」
安納はそう言って、穏やかな笑みを浮かべた。フリーの立場でスターダムに加え、センダイガールズ、OZアカデミーに定期的に出場。全日本や他団体などにもスポット参戦し、米国のSUKEBANでは初の海外遠征も経験した。一方でバラエティー番組など芸能活動にも取り組み、5月に発売したファースト写真集は大型書店グループ・書泉の月間ランキング1位に輝いた。
「月間の試合数は昨年の2倍から3倍に増えました。芸能のお仕事でも声をかけてもらいありがたいんですが、プロレスを優先したくて、お断りしたものもあるんです。本当にありがたいことなんですけどね」
デビューから4年半在籍したアクトレスガールズを2019年末に退団。フリーに転向した直後にコロナ禍で苦境に陥った。それだけに、今年の多忙ぶりは充実感が伴うものだった。その中で安納は、自身の新たな強みを知ったと胸を張った。
「すごく忙しくさせてもらって、自信になったことが一つあります。私、健康やなって。大きなケガ、病気は一度もなかったですから」
好きなものを食べ、しっかりトレーニングをするのは当然として、独自のリフレッシュ方も確立している。もともとインドア派だという安納。自分へのご褒美は、自分だけのために使う1日だ。「好きなアニメ、漫画を見て、美容も行う。自分の事だけに時間を使うんです。月に1日しかなくても大丈夫。それで元気になれますから」と笑った。
コズミック・エンジェルズの盟友で負傷欠場中の中野たむ、アクトレスガールズ時代から良きライバルと意識するなつぽい、米WWEで活躍するカイリとは連絡を取り合って刺激を受けているという。ワンダー王者・MIRAIとの決着戦に向け「もっともっとやりたいことがある。そのためにもベルトを勝ち取りたい」とキッパリ。その先をも見据え、言葉に力を込めた。