米国では未確認飛行物体(UFO)の存在が国家レベルで認知されているが、7月には公的な場での新たな証言があったという。ジャーナリストの深月ユリア氏が海外の報道をまとめ、識者に話を聞いた。
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CNNなど複数の海外メディアによると、7月26日に米軍の退役軍人らが米下院監視小委員会の未確認異常現象(UAP)、いわゆるUFOに関する公聴会で証言に立った。米海軍の元パイロットで、UAP関連の報告を促す団体を創設したライアン・グレーブズ氏は驚くべき証言をしたと報じられている。
報道から、グレーブズ氏の証言内容を抜粋すると、「政府が未確認情報に関する調査の内容を隠蔽している」「UAPのテクノロジーは、我々(地球人)が持つものより勝っている」「米政府はUAPを保持しているだけでなく、この航空機を操縦していた非人間パイロットたちの遺体も持っている」といったものだ。
こうした主張はUAP、UFOファンを騒然とさせているが、同氏によると「あくまで他人から聞いた話で自身では目撃していない」という。
UFOに詳しい作家の山口敏太郎氏に取材したところ、同氏も今回のUAP公聴会に注目しているという。
「かねてより米国はUFOが飛行しているということは認めていたが、今回の発言はUFOを誰が運転しているか、というもの。今まではっきりと明言しなかった問題に関して、踏み込んだ、UFO・地球外生命体の存在に関する積極的な発言である。当然、にわかに宇宙人の存在を認めることにはならないだろうが、かなり革新的な発言である。気になるのは、ロズウェル事件(※1947年に米ニューメキシコ州ロズウェル付近で墜落したUFOが米軍によって回収された事件。擬人ダミーを使った米軍の実験により、負傷者と死者を出した事故の誤認ではないか…という懐疑説もある)で回収された宇宙人から日本人由来のDNAが検出された、という話だ。(※複数のオカルト系メディアの報道によると、回収された遺体を解析したところ、DNAはモンゴロイドでYAP因子と呼ばれる日本人に多い遺伝子が検出された、という証言があるという)地球に訪れる宇宙人は未来人だという説もあるが、もし宇宙人が未来から訪れる日本人だとすれば、おいそれとは発表できないだろう。今後の動きが要注目だ」(山口氏)。
しかし、神奈川工科学大学で物理学を教えていた研究者に取材したところ、懐疑的な見解を示した。
その研究者は「『宇宙人は未来人』説に関して、現在の物理学では過去に旅するのは不可能とされている。仮に他の惑星の高度なテクノロジーを持つ生命体だとしても、未来人だとしても、高度なテクノロジーを有した生物がそう簡単に捕獲されるだろうか。このニュースもあくまで『聞いた話』とのことだが、単に世間の注目を集めたい目立ちたがり屋がそのような陰謀論を流しているのではないだろうか」と指摘した。
確かにグレーブズ氏の発言は他人からのまた聞きなので、信用できるか意見が分かれるだろう。ただし米国は昨年にも50年ぶりにUAP公聴会を開催していて、今回は2回目になるが、そこには何らかの確固たる目的があるに違いない。果たして、それは地球外生命体に関する情報の段階的な開示なのか、あるいは軍事目的もしくは一般人が想像がつかないような別の意図があるのか。今後の情報に注目したい。