「ヒバゴン」で町おこし、広島・西城町が熱い!13日の祭りで披露 探検隊員募集、女性隊長や隊員に聞く

北村 泰介 北村 泰介
「ヒバゴン」のぬいぐるみを抱いて上京した広島・西城町観光協会の岡崎優子事務長。探検隊の実行部隊長に就任した=都内
「ヒバゴン」のぬいぐるみを抱いて上京した広島・西城町観光協会の岡崎優子事務長。探検隊の実行部隊長に就任した=都内

 地方の過疎化対策として「UMA(未確認動物)での町おこし」に取り組む町がある。広島県庄原市西城町だ。約半世紀前に地元での目撃情報が相次ぎ、全国的な話題になった獣人系UMA「ヒバゴン」が市の公式キャラクターとなり、さらにSNSを通じて「ヒバゴン探検隊」の隊員を募集している。13日にはUMAをテーマにした夏祭りを開催。探検隊の実行部隊長に就任した西城町観光協会の岡崎優子事務長や隊員となった東京在住の女性に話を聞いた。

 ヒバゴンは1970年から74年にかけて目撃情報があり、その容貌は、全身が毛むくじゃらで、二足歩行の類人猿タイプ。身長は1・5~1・6メートル、顔は逆三角形などと報じられた。その名は目撃された比婆山(ひばやま)に由来する。

 岡崎氏は「西城町は鳥取と島根との県境にあり、すごく寒い地域で、豪雪地になります。自然に恵まれ、スキー場と小さな温泉、日本誕生の女神をまつった熊野神社があり、神様がヒバゴンを遣わしたという説も。庄原市内でヒバゴンを知らない人はいないです」と説明した。

 今回のヒバゴン探検隊は、70年12月16日に地元の庄原警察署が吾妻山(庄原市と鳥取県出雲町の境にある山)で採取した「ヒバゴンと思われる足形」を石膏で固め、警察署長室に飾っていたものを観光協会に寄贈したことを機に発足。募集状況について、岡崎氏は「7月末時点で全国からの応募は約40人で、登録を完了して『探検許可証』を発行したのは20人くらいです。東京の方が多く、大阪、奈良、四国、福岡などからも。親子での申し込みも何世帯かおられます。海外からはフランスのユーチューバーの方が取材に来られました」と説明した。

 その東京から応募して隊員となった2児の母がいる。アニメや特撮などのレコードをイベントで回す〝コスプレDJ〟として活動する「声(こえ)」さんだ。

 声さんは「元々、UFO、宇宙人、超能力などのオカルト好きであったことからUMAにも興味を持ち、書物などで知識を得ていました。結婚、出産後に2人の子どもたちとも楽しむことができる趣味(アウトドア)の一貫としてツチノコを探し始め、ビバゴンも常々探したいと思っていたところに探検隊が発足されたという流れです」と経緯を明かす。

 「私は広島県呉市の出身ですが、比婆山からはとても遠く、また、ヒバゴンブームが下火の時期に育ったこともあり、地元にいた10代の時にはほとんど知りませんでした」という声さん。「ヒバゴンは地元民にとても愛されているUMAで、踊りや音源もあったと思います。目撃情報のほか、そういった情報も現地の方に聞きたいです。UMA探しは参加型の村おこし。その土地の魅力を存分に楽しめるので、文化や食やグッズも含めて楽しみです」と期待を込めた。

 こうした全国のUMA愛好家と共に〝ヒバゴン運動〟に奔走してきた岡崎氏は5年前に「田舎暮らしがしたい」と福岡県から西城町に移住し、観光協会の職員に採用されたという経歴がある。町の高齢化や過疎化も実感してきた。

 「若い人は進学や就職で町から出て行く人が多いので、高齢化が進み、子どもも少ないので、移住していただけたらという思いはありますね。町の人口は3000人。ゆくゆくは、その数を超えるくらいの隊員が目標です!探検隊は年4回の勉強会と年1回の探索活動があり、初回の勉強会は9月に実施予定で、地元に来られない方もリモート参加できるようにしたい。探索は来春にもできれば。ヒバゴンの『関係人口』を増やすことで、観光から移住、定住につながっていければ」(岡崎氏)

 地元の高校生もヒバゴンとリンクした地域活性化に取り組む。岡崎さんは「町内唯一の県立高校である西城紫水(しすい)高校では、学校のSNSのアイコンがヒバゴンで、校内にヒバゴン情報局があり、体育祭では生徒たちがヒバゴン音頭で踊ってくれます。寮があって、神奈川などからも来られているので、全国から来ていただきたいです」と〝ヒバゴン留学〟にも期待した。

 13日には同町で「ヒバゴン郷どえりゃあ祭」が開催され、ヒバゴン参戦を掲げる東京のプロレス団体「怪獣プロレス」も協力予定だ。

 岡崎さんは「夏祭り、花火大会のステージでヒバゴンをお披露目させていただき、ゆくゆくは地元でプロレスの興行ができれば。ヒバゴンはヒールなのか、正義なのか、どっち?ということも含めて楽しみです。地元のプロレスファンの方からも、以前、庄原市で興行があった時にヒバゴンが出てきたので、またリングに上がるのはうれしいという声を聞きました」という。ちなみに、プロレス団体「KAIENTAI DOJO」(現・2AW)が2015年5月に庄原市総合体育館で開催した興行のメインで19選手出場のバトルロイヤルに「ヒバゴン」が参戦した記録がある。

 岡崎氏は7月に都内で開催された「都市伝説展」などでのPR活動で東京を訪れた。その腕には「座った状態で30センチ弱」というヒバゴンのぬいぐるみが抱かれていた。「駅やスキー場など数か所に置かれている非売品のキャラクターですが、欲しいという方が多いので、今後、作っていけたら。また、西城町にはツチノコの石碑もあり、昔は目撃情報もあったらしいです。ヒバゴンとツチノコのコラボグッズやイベントなどもできれば」と構想を膨らませている。

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