開設直後から「利用目的とは思えない男性がたむろして怖い」とクレームが殺到し話題となった、2023年4月14日にオープンした“東急歌舞伎町タワー ジェンダーレストイレ”。開設から1カ月以上がたった今、このトイレはどのようになっているのだろうか。最近利用したという、20代女性のYさんに現在の様子や使用感を聞いた。
「男性がいるのが不思議で、ちょっと怖い」
──まず、トイレ内の様子について教えてください。
Yさん:最初に感じたのが、非常に綺麗だなと思いました。デザインも近代的な印象で掃除も行き届いており、手洗い場にはライトもついていました。私は、ジェンダーレストイレの方を利用してみましたが、トイレ内にも鏡と手洗い場がついていて、結構お金がかかってそうと思いました。それだけに、あちこちにある注意喚起の張り紙や仮設のパーテーションが、トイレのデザインとギャップがありもったいない気はしましたね。
──トイレは何時ごろに利用し、何人ぐらいいましたか?
Yさん:私が利用したのは平日の夕方ごろでした。トイレ内には5、6人の女性の方が手洗い場で化粧直しをしていました。男性は2人ぐらい個室トイレから出てきたり、入ったりするのを見たぐらいでしたね。
──トイレの雰囲気はどういう感じでしたか?
Yさん:まだ明るい時間だったということもあり、思っていたよりは皆さん普通に使われているなという印象でした。ただ、男性の方はちょっと気まずそうな感じでさっさと用事を済ませて出ていく印象でしたね。トイレの前の通路では、女性も男性もいろんな人があのトイレの話をされてるのが耳に入り、ちょっとした観光地みたいになってました(笑)。
──実際に使ってみた感想は?
Yさん:初めて利用したので、トイレに男女が混ざっている状況というのは慣れなくて不思議な感覚でした。男性がいても、特に嫌な気分は特にありませんでしたが、やっぱりあの辺りは治安が悪いので、暗い時間には行きたくないですね。ちょっと怖いなぁと。
Yさんの話によると、現在は“ネットで話題のトイレ”として観光地状態になっており、お昼の時間帯は、女性も男性も特に問題なく使えそうだ。ただ、遅い時間帯になると、やはり不安を感じる声も少ないという。 多方面からこうした声を受け、歌舞伎町タワーのHPには「国連の持続可能な開発目標(SDGs)の理念でもある、誰一人取り残さないことに配慮し、新宿歌舞伎町の多様性を認容する街づくりから、設置導入いたしました」と、ジェンダーレストイレに関しての声明が公開された。
また、警備・防犯対策として、警備員による巡回、防犯カメラによるトイレ共用部の常時監視、カメラ画像解析、SOSボタン、長時間滞在と騒音による異常を検知した場合の警備員による駆け付け、清掃員による高頻度の清掃実施、夜間の電子錠によるロックなどさまざまな対策を行っているという。
さらに、現在では女性専用個室の追加や、パーテーションによる仮設ではあるが女性専用スペースも確保されるようになった。そうした対策もあり、SNS上では「ジェンダー専用ゾーンには警備員さんがいてくれて安心した」「個室内のボタンを押せば警備員さんが飛んできてくれるのがいい!」など、不安を払拭した人たちの声も聞かれるようになった。
それでもSNS上ではジェンダーレストイレに対しての反対意見もある。性的マイノリティの方々にとって過ごしやすい社会を目指す動きはとても大切ではあるが、あらゆる人々にとって過ごしやすい社会を形作るには、まだまだ時間が掛かりそうだ。