近年、テレビ番組や映画、ビデオだけでなくYouTube番組や怪談ライブも乱立し、注目を集める怪談シーン。
怪談と言えば夏に聴くものと思っている方が多いかもしれないが、なんと一年中いつでも怪談ライブを開催しているお店がある。それは新宿・歌舞伎町の「怪談ライブBarスリラーナイト歌舞伎町店」。
同店はプロの怪談師が1時間に1度、怪談噺を披露する怪談ライブバー。現在、3人の怪談師が所属しており、タイミングが良ければ一夜に何人もの怪談噺を聴き比べられるなんて贅沢も。
先日、筆者が足を運んだ際はテレビやYouTubeの怪談番組でも人気の高い村上ロックさん、りょう吉さんの二人が在店しており、2時間の滞在中、心ゆくまで恐怖に浸ることができた。
村上ロックさんにお話を聞いた。
港町YOKO(以下「YOKO」):ロックさんはいつからスリラーナイトに所属しているんですか?
ロック:スリラーナイトは札幌に本店があって2014年に東京進出したんですが、それ以来の所属になります。
YOKO:怪談師は元々、お笑い芸人やタレント出身の方が多いですが、ロックさんは?
ロック:僕は17年前、28歳の時に東京に出てきて、ミュージシャンや役者を目指していたんですが機会に恵まれず鳴かず飛ばずでした。そしてスリラーナイトの東京店が六本木に開店するにあたり誘ってもらって怪談師としての活動を始めました。
YOKO:怪談師への転向はスムーズでしたか?
ロック:それまで人前に立つことやトークには慣れていたつもりでしたが、そんな経験は怪談師としてはまったく役に立ちませんでした。いろんな人に怖い話を聞いたり調べたりして自分なりに組み立てるんですが、ステージでスポットライトを浴びた途端に真っ白になってしまい「どうしよう、どうしよう……」と。そんな苦悩の日々が4年は続きました。
それが、お店が六本木から歌舞伎町に移転したタイミングで先輩の怪談師がみんな退店し、僕が最古参になったんです。その時にやっと「もう、やるしかない」と腹をくくることができた感じですね。
YOKO:毎日、披露する怪談噺はどうやって決めているんですか?
ロック:お客さんの顔ぶれを見たり、お話をして好みを聞き出したり2度同じ噺をしないよう臨機応変に決めています。あと、コロナ禍で営業休止している間にYouTubeを始めたんですが、その反響も参考にしています。
YOKO:怪談を披露する場所としてのスリラーナイトの魅力は?
ロック:雰囲気とキャパシティーでしょうか。大きな会場でのイベントも楽しいですが、怪談の醍醐味って少人数で怖い話を共有するところにあると思うんです。その点、スリラーナイトは数人から、多くても30人くらいまで。怪談を披露することに特化した場所なので、怪談の原点の魅力を思う存分楽しんでもらえると思います。
YOKO:怪談師として目指すところは?
ロック:より怖い、ぞっとする話を紹介することはもちろんですが、それ以上に話芸としてのクオリティが大事だと思っています。誰もが知ってる古典のようなストーリーでも、「この人が喋るから面白い」と思ってもらえるような怪談師になるのが目標です。
□ □
3月に怪談ファンの女性と結婚しますます意気盛んな村上ロックさんイチオシの怪談噺は「線香」。この日、筆者も聴いて冷や汗ものだったが、この噺は青森県某所を舞台に現在進行形で起こっている怪談。これからさらにどんな展開があるのかまだドキドキしている。
怪談ライブBarスリラーナイト歌舞伎町店、怪談好きの方はもちろん、生で聴くのは初めてという方も、ぜひ足を運んでいただきたい素敵な恐怖スポットだ。
怪談ライブBarスリラーナイト歌舞伎町店
所在地:東京都新宿区歌舞伎町2丁目24-6 プランド2246ビル3F
営業時間:19:00~5:00
定休日:日曜日(6月から9月末まで 19:00-23:00で営業)
公式ホームページ:https://www.thriller-tokyo.com/
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@bar7812/featured