名は知らずとも顔を見れば!韓国の“名バイプレーヤー” オ・ジョンセ、過去に失顔症であることを告白

椎 美雪 椎 美雪
数々の作品で名演技ぶりを発揮しているオ・ジョンセ(出典:movie.daum)
数々の作品で名演技ぶりを発揮しているオ・ジョンセ(出典:movie.daum)

 どんな作品でも、主役だけでは成り立たない。それらを盛り上げるのが〝バイプレーヤー〟という存在だ。韓国ドラマファンならば、名は知らずともその顔を見れば「あ!」と思うこと間違いなし。そんな演技の手だれたちを紹介したい。

 今回紹介したいのは、韓国で“千の顔を持つ俳優”とも称されるオ・ジョンセ。1977年生まれの46歳だ。1997年に映画「父」で端役でデビューするも、長い無名時代を過ごすことに。独立系映画で主演を務めた経験はあるものの、ヒットにつながることはなかったという。

 彼に大きな注目が集まり、日本でその顔が知られるようになったのは、おそらく2019年に放送されたドラマ「椿の花咲く頃」だろう。主役のコン・ヒョジン演じるドンベクが経営する、バーカメリアの店舗を貸す大家であり、店の常連客ノ・ギュテを演じた。自分と距離を置こうとするドンベクに何かと絡み、町で起きた連続殺人事件を調べていくと、必ずノ・ギュテにたどり着くという、物語のキーとなる役を演じている。弁護士を妻に持つ劣等感や虚栄心、高いプライドなど、視聴者をイライラさせながらもどこか憎めない“ちょっと残念”なキャラクターだ。

 この演技が認められたオ・ジョンセは、韓国の総合芸術大賞と言われる「百想(ペクサン)芸術大賞」第56回で、TV部門の最優秀助演男優賞を受賞した。

 また2020年にはドラマ「サイコだけど大丈夫」に出演、発達障害3級の高機能自閉症(HFA)を持つムン・サンテという難役を演じ、多くの話題を呼ぶことに。

 第57回「百想芸術大賞」でもちろん候補に選ばれたのだが、同賞は前年度の受賞者が翌年受賞者の名前を読み上げることになっており、自ら自分の名前を読むという、初の快挙を成し遂げた。

 そんなオ・ジョンセ、実生活では愛妻家として知られており、小学校6年の時に恋心を寄せた女性を一途に思い、結婚。以前、ある番組で「今でも手をつないで歩く」と言及した。また親思いの一面もあり、有名になってからも時間があれば両親の経営するスーパーで店番をしている姿がちょくちょく見られるという。

 2014年に出演したトークバラエティーでは、人の顔が識別できない脳障害、相貌失認(失顔症)であることを告白。ブラッド・ピットが同じ障害で苦しんでいることを明かし、注目を集めたことがある。どんなに有名人であっても、誰であるかをすぐに認識することができないという、ある写真を見ながら「この子どもは僕の子に似てるなあ」と口にした際、妻から「これはあなたの子よ」と言われてしまったことがあると言い、共演者を驚かせた。

 そんな自身の背景も感じさせることなく、俳優として最高の力を発揮し続ける彼にはオファーが絶えることがなく、先日閉幕した第76回カンヌ国際映画祭では、ソン・ガンホらとともに笑顔でレッドカーペットを歩いている。

 “千の顔を持つ”オ・ジョンセの進化は、まだまだ続いていきそうだ。

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