「この世界の片隅に」の片渕須直監督 新作タイトルは「つるばみ色のなぎ子たち」 完成時期にも言及

山本 鋼平 山本 鋼平
片渕須直監督
片渕須直監督

 「この世界の片隅に」(2016年)で知られるアニメーション監督・片渕須直氏が手がける、同作以来の完全新作アニメのタイトルが「つるばみ色のなぎ子たち」に決まった。21日、都内で開催されたイベント「MAPPA STAGE 2023」で発表された。

 ステージに登場した片渕監督は「2017年から構想を始めて、やっとタイトルをお届けできるところまで来ました。コントレールという会社、スタジオをつくり、この映画のためにスタッフを養成してきました」と話し、つるばみ色(どんぐりのかさで染めた黒に近い灰色)一色の衣を着た少女の姿が描かれたティザービジュアルにて、タイトルが公開された。

 これまで京都、枕草子、清少納言を題材とし、「死んだら人はどこへ行ってしまうのだろうか。消えてしまうのだろうか」とのテーマが明かされていた。

 片渕監督は「見てもらえれば分かりますが、雅やかに色とりどりの十二単ではない」と語った。タイトルの「なぎ子」は、09年公開の片渕監督作品「マイマイ新子と千年の魔法」に登場するキャラクター・なぎこを想起させるが「関連性があるか気になりますよね」と、いたずらっぽく話すにとどめた。

 海外配給に向けた英語タイトルは「The Morning Children~Nagiko and the Girls Wearing Tsurubami Black」と発表された。「モーニングは朝ではありません。喪に服す子どもたちという意味です。副題では日本語の『たち』を『Girls』としました。平安時代は色とりどりの十二単で歌を詠んだりして、のどかに暮らしていたイメージだと思いますが、たくさん人が死に、ずっと喪服が脱げない時代でした。それを調べて解き明かし、その人々はこんな風だったんじゃないかと、物語を起こしています」と語った。

 監督補は「マイマイ新子と千年の魔法」「この世界の片隅に」に携わった浦谷千恵、作画監督は「もののけ姫」「君の名は。」の安藤雅司、音楽は「アリーテ姫」の千住明が務める。片渕監督は「今まで自分が仕事させていただいて、この作品であったらこういう人たちと、一緒にやりたいなって思った人たちに集まっていただいた」と説明した。

 メイキング映像では、つるばみ色の染色、たいまつへの点火、十二単を実際に身につけるシーン、平安時代に疫病の一因となったボウフラを育てスケッチするシーンなどが映し出された。同作は、片渕監督の新作のために立ち上げられたMAPPA傘下の制作会社・コントレールによって製作中。公開時期について片渕監督は「絵を描くときに何を描くのか、どう描いていくかというところから始めています。これからまだまだ大変な作業が待っている。完成まで何年かかかる」と話していた。

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